判旨
物品税法(昭和35年改正前)における委託製造の規定により委託者が製造者とみなされるためには、販売業者が原料、労務、資金等を供給して製造を委託したという実態が必要である。実態が個人の事業による製造であるにもかかわらず、免税目的で宗教団体からの委託製造を仮装したに過ぎない場合は、受託者(実際の製造者)が納税義務を負う。
問題の所在(論点)
物品税法における「委託製造」による納税義務者の認定において、形式的な委託関係の仮装がある場合に、実質的な製造者と委託者のいずれが製造者とみなされるか。
規範
物品税法上、委託者が製造者とみなされる(法6条4項)ためには、単なる形式的な委託契約の存在だけでは足りず、販売業者が原料、労務、資金等を実際に供給して製造を委託したという実務上の要件を充たす必要がある。
重要事実
被告人は、個人事業として楽器を製造していたが、物品税の支払いを免れるため、特定の宗教団体から委託を受けて製造しているかのように装った。実際には、当該宗教団体が原料や資金を供給して製造を委託した事実は認められず、被告人が自己の事業として製造を行っていた。
あてはめ
本件では、被告人が個人の事業として楽器を製造しており、宗教団体による原料や資金の供給という委託製造の要件を充たす証拠はない。単に免税目的で委託製造を仮装したに過ぎない以上、法的な委託製造の適用はなく、被告人自身が製造者として納税義務を負うと判断される。
結論
被告人は物品税法上の製造者に該当し、免税のための仮装は認められない。したがって、被告人の上告は棄却される。
実務上の射程
租税法における実質課税の原則的な考え方を示すものであり、形式的な契約関係よりも経済的な実態(原料・労務・資金の供給源)を重視して納税義務者を特定する際の判断基準として活用できる。
事件番号: 昭和36(あ)188 / 裁判年月日: 昭和37年2月22日 / 結論: 棄却
物品税の納税義務者の従業員がその義務者の業務に関し不正行為をもつて物品税を逋脱した場合には、金員着服の目的によるときであつても、物品税法第一八条第一項第二号の罪が成立する。
事件番号: 昭和44(あ)1032 / 裁判年月日: 昭和46年3月30日 / 結論: 破棄差戻
申告納税制度のもとにおいて、納税義務者本人が第三者名義でその納税申告をすることは、法の全く予定していないところであり、これが外観上一見して納税義務者本人の通称ないし別名による申告と判断できるような場合でない限り、納税義務者本人の納税申告として、その納税義務の確定という公法上の効果は生ぜず、有効な納付はなし得ない。