憲法第九七条は抽象的に基本的人権云々といつて居るだけだから、単に同条違反というだけで具体的に如何なる基本的人権が侵害されるかを記さなければ上告の理由とならない。
具体的に基本的人権侵害の事実を示していない上告の適否
憲法97条,刑訴法405条,関税法104条
判旨
関税法第104条は、憲法第22条が保障する職業選択、居住、移転の自由や国籍離脱の自由を制限するものではなく、同条に反しない。また、憲法第97条違反を主張するには、具体的に如何なる基本的人権が侵害されるかを摘示する必要がある。
問題の所在(論点)
関税法第104条(輸出入の禁止・制限等に違反する罪)の規定が、憲法第22条で保障される職業選択の自由、居住・移転の自由等の経済的自由、および憲法第97条の本質的基本的人権を侵害し、違憲といえるか。
規範
憲法第22条(経済的自由)の違憲性を判断するにあたっては、当該法律が同条に規定する職業選択、居住、移転の自由、または国籍離脱の自由に直接触れ、これを制限するものであるかを基準とする。また、憲法第97条(基本的人権の保障)違反を上告理由として主張する場合には、単に抽象的な権利侵害を述べるだけでは足りず、具体的にどのような基本的人権が侵害されているかを特定しなければならない。
重要事実
被告人が関税法第104条(密輸出入等の罪)に抵触する行為を行い起訴された事案において、弁護人は同条が憲法第97条および第22条に違反し違憲であると主張して上告した。しかし、判決文からは被告人が具体的にどのような行為によって関税法違反に問われたのかという詳細な犯罪事実は不明である。
あてはめ
関税法第104条は、輸出入に関する規制を定めるものであり、憲法第22条に規定されている職業選択の自由、居住・移転の自由、あるいは国籍離脱の自由について何ら触れるところがない。したがって、同条が経済的自由を直接的に制限し侵害しているとは認められない。また、憲法第97条については、その性質上、抽象的な基本的人権の尊重を謳うものであるため、具体的な人権侵害の態様が示されない限り、同条違反の主張は適法な上告理由とはなり得ない。
結論
関税法第104条は憲法第22条および第97条に違反しない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、経済的自由(特に職業選択の自由等)の侵害を主張する際の対象の画定と、上告理由としての違憲主張の具体性について示している。実務上は、単なる一般的・抽象的な人権侵害の主張ではなく、対象条文がどの方条に直接抵触するのかを峻別して論じる必要があることを示唆している。
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