判旨
事後審である控訴審は、第1審の公判調書等に現れた事実を基礎として量刑不当の有無を判断すべきであり、被告人の余罪に関する供述が公判調書に記載されている場合、これを考慮して量刑の当否を判断することは適法である。
問題の所在(論点)
事後審たる控訴審において、第1審の公判調書に記載された被告人の余罪(起訴猶予歴)に関する供述を量刑不当の判断材料とすることが許されるか。
規範
控訴審は事後審としての性格を有することから、第1審判決の量刑が不当であるか否かを判断するにあたっては、第1審裁判所において取り調べた証拠や公判手続の経過により現れている事実を基礎として判断すべきである。
重要事実
被告人の第1審第2回公判において、弁護人の問いに対し、被告人が「最近詐欺事件で調べられたことがあるが、起訴猶予になった」旨を回答した。このやり取りは第1審の公判調書に記載されていた。原審(控訴審)は、この事実等を含めて検討し、第1審の量刑が不当ではないと判断した。
あてはめ
第1審の公判調書には、弁護人の尋問に対する被告人の供述として、詐欺事件での取調べおよび起訴猶予の事実が明確に記載されている。控訴審は、第1審の証拠等に現れているこれらの事実に基づき、第1審の量刑の当否を判断している。これは、事後審の枠組みにおいて第1審判決の妥当性を検証するプロセスとして正当なものであるといえる。
結論
原審が第1審の公判調書に現れた事実を考慮して量刑の当否を判断したことに違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
事後審における量刑判断の資料範囲を示す。公判調書に記載された被告人の供述は、たとえ余罪に関するものであっても、第1審における取調べの経過として現れている以上、控訴審の判断材料となり得る。ただし、被告人の不利益に考慮する際の「余罪」の取り扱いについては、後の判例法理(犯意の強弱等の情状として考慮できるが、実質的な別罪の処罰としてはならない)との整合性に留意が必要である。
事件番号: 昭和27(あ)107 / 裁判年月日: 昭和28年5月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不利益変更禁止の原則は、原判決の主文を全体として観察し、第一審の刑より軽くなっているか否かによって判断される。また、自白の補強証拠は、自白と相まって犯罪事実を認定できる程度に備わっていれば足りる。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、第一審の判決に対して控訴したところ、原…