判旨
複数の弁護人が選任されている場合において、被告人ごとに定められた主任弁護人に対して適法に公判期日の通知がなされていれば、主任弁護人以外の弁護人に対して通知がなされていなくとも、手続は適法である。
問題の所在(論点)
数人の弁護人が選任されている事案において、主任弁護人以外の弁護人に対し公判期日の通知を欠いた手続が、刑事訴訟法上の適法な手続に違反するか。
規範
被告人に数人の弁護人が選任されている場合、裁判所は、主任弁護人が定められたときは、同人に対して公判期日の通知をなせば足りる(刑事訴訟規則25条参照)。
重要事実
被告人らには複数の弁護人が選任されていた。第一審の第5回公判以降、ある特定の弁護人(A)は、いずれの被告人についても主任弁護人の職に就いていなかった。一方で、各被告人の主任弁護人に対しては、すべて適法に公判期日の通知がなされていた。
あてはめ
本件において、指摘された弁護人は第一審第5回公判以降、主任弁護人の地位になかったことが記録上明白である。一方で、各被告人の主任弁護人に対しては適法に期日通知がなされている。刑事訴訟規則25条の趣旨に照らせば、主任弁護人に対し通知がなされていれば、防御権の行使を確保する手続として必要十分であると解される。したがって、主任弁護人ではない弁護人への通知がなかったとしても、職権をもって原判決を破棄すべき(刑訴法411条)重大な訴訟手続の法令違反は認められない。
結論
各被告人の主任弁護人に対し適法に公判期日の通知がなされている以上、主任弁護人以外の弁護人への通知がなくとも訴訟手続に違法はない。
実務上の射程
多数の弁護人が選任された場合の通知対象に関する実務的な判断枠組みを示す。刑事訴訟法34条に基づく通知等の事務負担軽減と防御権確保の調和として、主任弁護人への通知の重要性を強調する際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)134 / 裁判年月日: 昭和26年9月4日 / 結論: 棄却
弁護人安井源吾提出の上告趣意書(論旨は刑訴四〇五条に該らす、上告適法の理由でない)は、同弁護人の選任に被告人の連署を欠きその選任を有効と認め難いから、受理することを得ない。結局本件上告につき指定期間内に趣意書の提出がないものというべきである。
事件番号: 昭和26(あ)535 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意書提出期間経過後に提出された上告趣意追加申立については、裁判所はこれに対して判断をする必要はない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が上告趣意書を提出したが、その後、上告趣意書提出期間が経過してから上告趣意追加申立書を裁判所に提出した事案である。 第2 問題の所在(論点):上告趣意書提出期…
事件番号: 昭和26(あ)2670 / 裁判年月日: 昭和26年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の弁護人が憲法違反を主張して上告した場合であっても、具体的条項の明示がなく、実質的に刑訴法405条の上告理由に当たらないときは、適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:被告人両名の弁護人が上告を申し立てた事案。弁護人は上告趣意において憲法違反を主張したが、その具体的な条項を明示し…
事件番号: 昭和23(れ)1142 / 裁判年月日: 昭和23年12月4日 / 結論: 棄却
一 科刑の種類の選擇、刑の量定、ならびに刑の執行を猶豫するかどうかは事實審たる裁判所が諸般の情状を考慮した上、自由裁量をもつて決定すべきところである。 二 被告人の辯護人が、原審の指定した第一回公判期日に出廷不可能のため、その期日の變更申請をした場合、原審において諸般の事情を考慮して、之を許容しなかつたとしても、本件は…