判旨
予審訊問調書の証拠能力について、被告人が証人尋問権を行使する意思を示さず、かつ任意性に疑いがない場合には、これを証拠とすることが認められる。
問題の所在(論点)
被告人の証人尋問権(対面・反対尋問権)との関係で、予審訊問調書を証拠として採用することが許されるか。
規範
旧刑事訴訟法下における予審訊問調書の証拠採用について、(1)公判手続において被告人または弁護人が供述者に対する尋問を希望せず、他に利益な証拠がない旨を述べていること、(2)当該調書の作成過程に任意性を欠くなどの証拠能力を否定すべき事由が認められないこと、という要件を満たせば、証拠とすることができる。
重要事実
被告人および弁護人は、原審の公判廷において、本件の予審訊問調書の要旨を告知された。その際、被告人側は当該調書の供述者に対する尋問を請求せず、他に自己に利益となる証拠はない旨を陳述していた。また、記録上、当該調書が任意性を欠くなどの特段の事情も認められなかった。
あてはめ
本件では、被告人および弁護人が原審で調書内容の告知を受けた際、供述者の尋問を申し立てておらず、自ら防御の機会を放棄したといえる。また、他に利益な証拠がないと述べていることから、手続保障上の実質的な不利益はない。さらに、調書作成の任意性を疑う形跡もないため、証拠法則に反する事由は存在しないと判断される。
結論
原判決が予審訊問調書を証拠としたことに憲法・刑事訴訟法上の違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
伝聞例外や証拠同意に関する議論の端緒となる判例である。現代の刑事訴訟法下においては、321条各項の要件充足性や、被告人の反対尋問権(憲法37条2項)の放棄・喪失の法理を検討する際の歴史的・基礎的判例として位置づけられる。
事件番号: 昭和23(れ)1380 / 裁判年月日: 昭和24年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】予審における自白の証拠能力について、強制によるものと疑われる特段の事情がない限り、裁判官がその専権により証拠として採用し、公判廷での供述を排して事実認定の基礎とすることは適法である。 第1 事案の概要:被告人両名および共犯者Aは、公判廷において強盗の事実を否定する供述を行った。しかし、原審(控訴審…