所論は、すべて第一審判決及び第一審の訴訟手續の違法を主張するものであつて、原審の判決又はその訴訟手續の違法を主張するものではないから、適法な上告理由と認め難い。
第一審の判決及び訴訟手續を主張する上告の適否
舊刑訴法408條,舊刑訴法409條
判旨
憲法37条2項は、裁判所が審理に必要適切でないと認める証人まで、申請さえあればすべて喚問すべきことを定めている趣旨ではない。
問題の所在(論点)
裁判所による証人申請の却下は、被告人の憲法37条2項に基づく「自己に有利な証人を喚問する権利」を侵害し、違憲となるか。また、検察官が第一審判決を引用する形で公訴事実を陳述することに違法はあるか。
規範
憲法37条2項は被告人に証人喚問権を保障しているが、これは裁判所に対し、証拠申請があったすべての証人を喚問する義務を課すものではない。裁判所は、当該証人の尋問が審理にとって必要かつ適切であるか否かを合理的に判断し、必要がないと認める場合には証人申請を却下することができる。
重要事実
被告人が刑事裁判において証人申請を行ったところ、原審(控訴審)は当該証人の尋問を必要でないと判断して申請を却下した。これに対し弁護人は、証人申請の却下が憲法37条2項(証人喚問権)に違反する旨を主張して上告した。また、検察官が公訴事実の陳述において第一審判決の摘示内容を引用した点についても、手続き上の違法が争われた。
あてはめ
憲法37条2項の趣旨に照らせば、裁判所は審理に不要な証人まで喚問する義務を負わない。本件において原審が証人申請を却下したことは、審理の必要性に基づいた合理的な裁量範囲内のものであると認められるため、憲法違反には当たらない。また、検察官の公訴事実の陳述についても、第一審判決には犯罪事実の摘示が明白に存在しており、これを引用して内容を示すことは適法である。
結論
原審が証人申請を却下したことは憲法37条2項に違反せず、検察官による第一審判決引用の陳述も正当であるため、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における証拠決定(刑訴法190条等)の裁量を憲法的観点から肯定した判例であり、実務上、証拠の必要性を欠く場合の却下を正当化する根拠として引用される。公判維持においては、不要な証拠申請を排斥する裁判所の権能を裏付ける射程を持つ。
事件番号: 昭和25(れ)1723 / 裁判年月日: 昭和26年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は、裁判所に対し、被告人が申請したすべての証人を取り調べる義務を課すものではない。裁判所がその必要を認めて喚問を許可した証人に限って、被告人に反対尋問の機会等の権利を保障する趣旨である。 第1 事案の概要:被告人は、原審(控訴審)公判において、Aを証人として申請した。しかし、原審裁判…