昭和二三年二月二四日附米國第八軍司令部より日本政府内務省保局長宛の「日本の刀劍並びに鉄砲の回收、類別及び處分」と題する覺書は一定の要件の下に、刀劍並に鉄砲の登録申請の受付及び處理を昭和二三年六月一日まで延長を許可したものであつて、一旦成立した銃砲等所持禁止令第一條違反の罪に消長を來すものではない。(昭和二三年(れ)第一、九一五號同二四年五月一日第二小法廷判決參照)
昭和二三年二月二四日附米國第八軍司令部より日本政府内務省保局長宛「日本の刀劍並びに鉄砲の回收、類別及び處分」と題する覺書の効力
銃砲等所持禁止令1條,昭和23年2月24日附米國8軍司令部より日本政府内務省警保局長宛覺書
判旨
銃砲等所持禁止令1条違反の罪は、銃砲であると認識して所持した時点で成立し、後に警察へ届け出る意思があったとしても犯罪の成立を妨げない。
問題の所在(論点)
銃砲等所持禁止令1条違反の罪において、所持の目的や事後の届出の意思が犯罪の成立に影響を及ぼすか。特に「警察に届け出る意思」の存在が故意や違法性を阻却するか。
規範
銃砲等所持禁止令1条は、職務上の所持や法定の許可がある場合を除き、国民一般に銃砲等の所持を絶対的に禁じている。したがって、客体が銃砲であるとの認識(故意)をもって所持すれば、その時点で直ちに同条違反の罪が成立する。
重要事実
被告人は、昭和22年10月19日から同月24日まで、法定の除外事由がないにもかかわらず拳銃1挺を所持していた。被告人は、当該拳銃を後に警察へ届け出る意思を有していたと主張し、犯罪の不成立を訴えて上告した。
事件番号: 昭和23(れ)397 / 裁判年月日: 昭和23年7月29日 / 結論: 棄却
一 「九四式拳銃」は銃砲等所持禁止令施行規則(昭和二一年内務省第二八號)第一條に規定する銃砲に該當する。 二 彈倉は銃砲等所持禁止令施行規則第一條の銃砲の範圍内に含まれる。 三 被告人が「自宅において所持して居た」と判示すれば、銃砲等所持禁止令第二條の「所持した者」の判示方法として缺くるところがなく、所持の態容を判示す…
あてはめ
被告人は法定の許可なく拳銃を所持しており、所持の事実および客体が銃砲であることの認識に欠けるところはない。所論の「警察に届け出る意思」は、既に成立した所持という事実およびその認識を左右するものではなく、絶対的禁止を旨とする同令の趣旨に照らせば、かかる主観的意図によって犯罪の成立が妨げられることはない。
結論
被告人に銃砲等所持禁止令1条違反の罪が成立する。警察への届出意思の有無は、一旦成立した犯罪の成否に影響しない。
実務上の射程
行政取締法規における故意の認定や、主観的な目的・動機が構成要件該当性に影響しないことを示す。特に「不法領得の意思」のような特定の目的が不要な犯罪において、事後の適法化の意図が犯罪成立を妨げないとする論理として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1137 / 裁判年月日: 昭和24年9月29日 / 結論: 棄却
一 銃砲等所持禁止令第一條違反の犯罪は、所定の刀劍類を所持するを以て成立し、ただその所持當時同條但書の事由あるときはその犯罪の成立を阻却するに過ぎないものである。されば刀劍の所持當時同條但書所定の許可がない以上、たとい許可申請の意思がありしかも不可抗力的事情で許可申請をすることができなかつたといつて、犯意なしというない…
事件番号: 昭和26(あ)5111 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲等所持禁止令違反罪の成立には故意が必要であり、自宅に刀剣が存在することを知りながら、その処分を命じたのみで結果を確認せず放置した場合には、所持の犯意が認められる。 第1 事案の概要:被告人は、自宅に刀剣が存在することを認識していた。被告人は当時、二男に対し当該刀剣の処分を命じたものの、その後、…
事件番号: 昭和24(れ)1759 / 裁判年月日: 昭和25年1月10日 / 結論: 棄却
論旨は、審理の冒頭における概括的な犯罪事実の承認によつて、犯罪事實の内容に亘り全部を認めたものとすることはできないと主張するなるほど、被告人が概括的の問答では犯罪事實を認めても、個々の點についてはこれに反する供述をしたような場合には、冒頭の答えだけで細部に亘る悉くの事實を認めたものとは云い難いこともあらう。しかしその何…
事件番号: 昭和25(あ)2892 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
照準が破棄されていても拳銃の発射機能がないとはいえないし、また、弾丸が伴わなくとも鉄砲所持禁止令違反たるを免れないこと多言を要しない。