原棄公判廷において證人Aを訊問するに當り、原審が同證人に宣誓をなさしめなかつたことは記録上明らかであるが、舊刑訴法第二〇一條第一項第三號は被告人と共犯關係ありとして、有罪の確定判決を受けた者をも包含するものと解すべきであるから(大審院昭和四年(れ)第四二七號同年五月三〇日判決參照)原審が右證人に宣誓を命じなかつたことは正當である。
被告人と共犯關係ありとして有罪の確定判決を受けた者を證人とする場合に宣誓を命じないことの正否
舊刑訴法201條1項3號
判旨
共犯関係にあり既に有罪の確定判決を受けた者は、証人尋問において宣誓をさせないことができる旧刑訴法の規定の対象に含まれる。また、公判調書における証拠書類の記載は、どの書類について証拠調がなされたかが明確であれば足り、個別に掲記することまでは要しない。
問題の所在(論点)
1. 既に有罪の確定判決を受けた共犯者は、旧刑訴法上の「被告人と共犯関係にある者」として、無宣誓で証人尋問を行うことができるか。 2. 公判調書に証拠書類の内容を個別具体的に記載しなかった場合、証拠調べの適法性に影響を及ぼすか。
規範
1. 証人として召喚された者が被告人と共犯関係にあり、かつ既に有罪の確定判決を受けた者である場合、旧刑訴法201条1項3号(宣誓をさせないことができる規定)にいう「被告人と共犯関係にある者」を包含すると解するのが相当である。 2. 公判廷において証拠調べをした書類を公判調書に記載するにあたっては、いかなる書類について証拠調べがなされたかが明確になれば足り、必ずしも書類の一つ一つについて個別的、具体的に掲記する必要はない。
重要事実
被告人BおよびCの刑事裁判において、原審は共犯者として既に有罪判決が確定していたAを証人として採用したが、尋問に際して宣誓をさせなかった。また、公判調書には証拠調べをした各検事聴取書等の書類が個別具体的には記載されていなかった。弁護人は、(1)確定判決を受けた共犯者は無宣誓の対象ではないこと、(2)公判調書に個別的な記載がないため適法な証拠調べが行われていないことを理由に、採証法則違反等を主張して上告した。
あてはめ
1. 旧刑訴法201条1項3号の趣旨に鑑みれば、共犯関係にある者が既に有罪確定判決を受けている場合であっても、なお同条項の対象に含まれると解するのが正当である。したがって、原審がAに対し宣誓を命じなかった措置に違法はない。 2. 公判調書の記載によれば、論旨指摘の書類全部について包括的に証拠調べがなされたことが窺える。証拠調べの対象が明確である以上、個別具体的な掲記が欠けていても適法な証拠調べが行われたものと認められる。
結論
1. 有罪確定後の共犯者も無宣誓の対象に含まれるため、原審の措置は正当である。 2. 公判調書に個別的な記載がなくとも、証拠調べの対象が特定可能であれば適法である。上告棄却。
実務上の射程
旧法下の判断ではあるが、公判調書における証拠調べの記載の程度に関する判断枠組み(包括的記載の許容性)は、現行法下における公判調書の整理や証拠調べ手続きの適法性判断においても、実務上の合理性を説明する論理として参照し得る。
事件番号: 昭和26(れ)98 / 裁判年月日: 昭和26年5月1日 / 結論: 棄却
旧刑訴第二〇一条第一項第三号及び第一八八条第二項にいう「共犯」とは、刑法第六〇条以下の定める共犯(狭義の共犯)のみを指すのではなく、収賄及び贈賄の罪のように、法律がそれぞれ別個の罪として規定していても、その性質上たがいに関与、加担の関係がある場合(いわゆる必要的共犯に属する場合)をも含むものと解すべきである。なぜなら、…