憲法九条は、将来に対し戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を宣言したものであつて、戦時刑事特別法廃止法律が過去の戦時中の行爲に関して当時施行されて居た戦時刑事特別法の適用ある旨を規定したことは憲法九条の何等の関りもあるものではない。されば本件過去の戦時中の収賄行為について戦時刑事特別法を適用した原判決は何等違法はない。
戦時刑事特別法廃止法律附則第二項と憲法第九条
憲法9条,戦時刑事特別法廃止法律(昭和20年12月法律47条)附則2項,戦時刑事特別法(昭和18年10月法律107号)18条の2
判旨
共同被告人の供述であっても、被告人本人の自白と相まって犯罪事実の全部を確認するに役立つ限り、日本国憲法第38条第3項にいう「本人の自白」の補強証拠となり得る。
問題の所在(論点)
共同被告人の供述は、憲法38条3項(および刑訴法319条2項)に規定される「本人の自白」の補強証拠として認められるか。共同被告人の供述が被告人自身の自白と同視されるべきかが問われた。
規範
共同被告人の供述は、被告人本人の自白と相まって犯罪事実の全部を確認するに役立つ限り、憲法38条3項および刑事訴訟法319条2項にいう自白の補強証拠となり得る。
重要事実
被告人A、B、D、Gらは、戦時中の収賄等の罪に問われた事案において、原判決が被告人らの自白のみならず、共同被告人らの供述(予審訊問調書等)を補強証拠として犯罪事実を認定したことに対し、共同被告人の供述を補強証拠とすることは憲法が禁止する「自白のみによる処罰」にあたるとして上告した。
あてはめ
最高裁は、過去の大法廷判例を引用し、共同被告人の供述であっても被告人本人の自白を補強し犯罪事実の全部を確認するに資するものであれば、補強証拠としての適格性を有すると判示した。本件においても、原審が各被告人の自白以外に、他の共同被告人の予審訊問調書中の供述記載を証拠として採択していることは、補強法則の趣旨に反しないと判断した。
結論
共同被告人の供述は補強証拠となり得るため、これを用いて有罪判決を維持した原判決に憲法違反や証拠法則上の誤りはない。
実務上の射程
共犯者の供述に補強証拠としての能力を認める実務の確立された準拠枠組みである。答案上は、共犯者の供述が「自白」に含まれるか(証拠能力)という論点とは別に、自白の証明力を補う「補強証拠」になり得るかという文脈で、憲法38条3項の「本人の自白」の意義と関連付けて論じる際に用いる。
事件番号: 昭和26(れ)593 / 裁判年月日: 昭和26年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が存在する場合、共犯者の供述(自白)は憲法38条3項および刑事訴訟法319条2項にいう「補強証拠」として許容され、これらを総合して有罪を認定することができる。 第1 事案の概要:被告人Aは贈賄の罪に問われ、検察官に対して自白していた。一方、共犯者であるBおよびCも収賄の事実を自白してい…
事件番号: 昭和33(あ)1896 / 裁判年月日: 昭和38年2月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の供述は、憲法38条3項の「本人の自白」には当たらないため、被告人本人の自白がなくても、共犯者の供述のみで被告人を証拠に基づき有罪と認定することは憲法上許容される。 第1 事案の概要:被告人Bは、市長交際費や寄附金に関する業務上横領等の罪に問われた。第一審において、被告人は犯罪事実を否認して…