判旨
連続一罪として起訴された数個の行為の一部について無罪と認める場合、主文において個別に無罪の言い渡しをする必要はない。
問題の所在(論点)
数個の行為が連続一罪(一罪)として起訴された場合において、その一部が認められないとき、判決主文でその部分について個別の無罪を言い渡すべきか。
規範
包括一罪や連続一罪(旧法下の概念)として公訴提起された数個の事実のうち、一部が犯罪の証明がないと判断される場合であっても、残部の事実により当該一罪が成立する以上、判決主文において一部無罪を明示する必要はない。
重要事実
被告人は、複数の行為からなる連続一罪として起訴された。裁判所は審理の結果、起訴された数個の行為のうち、その一部については犯罪の証明がないと判断したが、残部については有罪と認めた。この際、裁判所は主文において無罪部分を個別に掲げなかったため、被告人側がその適法性を争い上告した。
あてはめ
本件において被告人の行為は連続一罪として一体的に起訴されている。裁判所がその一部について無罪と判断したとしても、残りの行為によって当該一罪の成立が認められるのであれば、訴訟上の請求は全体として一つの有罪判決によって充足される。したがって、主文でことさらに無罪を宣言する必要はなく、理由中でその旨を判示すれば足りる。
結論
連続一罪の一部が無罪であっても、主文において特別に無罪の言渡しをする必要はない。したがって、本件の判決に違法はない。
実務上の射程
現代の刑訴法における「一罪の一部無罪」の処理(公訴事実の単一性・同一性の範囲内での処理)に関する基本原則を示すものである。包括一罪や観念的競合など、訴訟記録上「一個の刑」が科されるべき事案において、一部に犯罪の証明がない場合の主文構成の指針となる。
事件番号: 昭和25(あ)3365 / 裁判年月日: 昭和26年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】一罪として起訴された犯罪の一部が証明不能により無罪と認められる場合であっても、主文で特に無罪を言い渡す必要はなく、有罪と認めた他の部分のみを判示すれば足りる。 第1 事案の概要:被告人は拳銃と実砲の所持につき、一罪として起訴された。第一審は、その実砲のうち一部の不法所持について、犯罪の証明がないも…
事件番号: 昭和28(あ)2982 / 裁判年月日: 昭和29年4月22日 / 結論: 棄却
所論公訴事実と原審認定の事実とはその基本的事実関係において相違するところなく、単に欺罔方法の一部に差異あるに過ぎないのであるから、たとえ原審が訴因変更の手続を経ることなく、判示事実を認定したからとて、これによつて、実質的に被告人に不当な不意打を加えその防禦権の行使を妨げたものと認めることはできないのであつて原判決には所…
事件番号: 昭和25(あ)1068 / 裁判年月日: 昭和25年9月19日 / 結論: 棄却
一 證據説明は、記録と照らし合せて見てどの證據でどの犯罪事實を認めたかが明かにされていれば足ると言うべきである。 二 第一審判決は證據の標目を一括舉示しているけれども、從つて判文上は證據と事實との關連性は明かでないが、記録と照らし合せて見ればどの證據によつてどの事實が認定されたか極めて明白である。しかも第一の事實と第二…
事件番号: 昭和25(あ)2011 / 裁判年月日: 昭和25年12月22日 / 結論: 棄却
刑訴規則第一八七条第一項は、控訴審には準用されない。
事件番号: 昭和25(あ)1044 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告であっても、その実質が刑事訴訟法411条に該当する事由の主張にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人側の弁護人が、原判決に対して憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、裁判所がその主張内容を検討したところ、憲法違反としての実質を備えてい…