判旨
証拠の取捨選択および事実の認定は、原事実審の権限に属する事項であり、これに対する不服申し立ては適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法下(および現行刑訴法においても同様の法理が妥当する)において、原判決が行った証拠の取捨選択や事実認定の是非を争うことが、法律審である最高裁判所に対する適法な上告理由となるか。
規範
上告審は法律審であり、証拠の取捨選択や事実認定といった事実に関する事項は原則として原事実審(第一審または控訴審)の専権に属する。したがって、単なる事実誤認の主張や事実認定の基礎となる証拠評価への非難は、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
被告人が原判決の認定した事実関係や証拠の取り扱いを不服として上告を申し立てた事案。具体的な事案の内容や罪名、どのような証拠が争点となったかについては、本判決文からは不明である。
あてはめ
被告人の上告趣意は、その実質において原事実審の権限に属する証拠の取捨判断および事実の認定を非難するものである。これは法の定める法律上の問題(憲法違反や判例相反等)の指摘ではなく、事実関係に関する不服申し立てにすぎないと評価される。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くものとして棄却される。
実務上の射程
本判決は、上告審が原則として事後審・法律審であることを再確認するものである。答案作成上は、事実認定の当否を争う主張が上告理由(刑訴法405条、406条等)に該当するかを検討する際の基礎的な法理として機能するが、本判決自体が特定の規範を詳細に展開しているわけではないため、一般論としての言及に留まる。
事件番号: 昭和25(あ)2201 / 裁判年月日: 昭和26年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定における証拠の取捨選択は事実審の裁量権に属する事項であり、それが条理や実験法則に反しない限り、上告理由となる憲法違反等の違法には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、第一審判決の認定した事実について、証拠の総合的な評価に誤りがあり条理及び実験法則に違背するものであると主張し、事実認定を…