判旨
第一審で言い渡された不定期刑が、控訴審判決時において被告人が成年に達したことにより、その長期を超えない範囲内の定期刑に変更された場合、不利益変更禁止の原則に反しない。
問題の所在(論点)
少年法に基づき不定期刑を言い渡された者が、控訴審で成年に達したことを理由に定期刑へと変更される際、不利益変更禁止の原則(旧刑訴法上の法理)に抵触するか。具体的には、懲役3年以上5年以下の不定期刑を懲役3年の定期刑に変更することが不利益な変更にあたるか。
規範
被告人が控訴した事件において、控訴審が第一審の刑を破棄して自判する際、第一審の刑より重い刑を科すことは許されない(不利益変更禁止の原則)。不定期刑から定期刑への変更がこれに抵触するか否かは、宣告された定期刑が不定期刑の長期を超えているか否かによって判断される。
重要事実
第一審は、当時少年であった被告人に対し、懲役3年以上5年以下の不定期刑を言い渡した。被告人が控訴し、控訴審(原審)の判決当時において被告人は既に成年に達していた。これを受け、原審は第一審判決を変更し、被告人を懲役3年の定期刑に処した。被告人側は、これが不利益変更にあたると主張して上告した。
あてはめ
本件において、第一審が言い渡した刑は懲役3年以上5年以下の不定期刑であり、刑の最大の長さ(長期)は5年である。これに対し、原審が言い渡した刑は懲役3年の定期刑である。被告人側は懲役5年に処されたと誤解して主張しているが、事実は懲役3年であり、これは第一審の不定期刑の長期(5年)はもちろん、短期(3年)をも超えるものではない。したがって、実質的に刑が重くなったとは認められない。
結論
原判決が言い渡した懲役3年の定期刑は、第一審の不定期刑(3年以上5年以下)に比して重い刑を科したものとはいえず、不利益変更禁止の原則には反しない。
実務上の射程
少年法による不定期刑から成年に伴う定期刑への移行の際、不利益変更の有無を判断する基準を示す。実務上は、定期刑が不定期刑の「長期」を上回らない限り、原則として不利益変更には該当しないと解する指針となる。
事件番号: 昭和24(れ)1073 / 裁判年月日: 昭和27年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不利益変更禁止の原則において、第一審の不定期刑に対し控訴審が定期刑を言い渡す場合、定期刑の刑期が不定期刑の長期と短期の中間を超えないときは、被告人に不利益な変更とはならない。 第1 事案の概要:被告人に対し、第一審は懲役長期5年・短期3年6月の不定期刑を言い渡した。これに対し、原審(控訴審)は第一…
事件番号: 昭和24(れ)2386 / 裁判年月日: 昭和25年1月19日 / 結論: 棄却
被告人Aに對し、第一審判決は所論のごとく、同人を少年と認め四年以上六年以下の懲役及び罰金五百圓(金二〇圓を一日に換算して勞役場留置を言渡し、原審判決は成年として懲役三年及び罰金千圓(換算率前同様)を言渡したことは記録上明白である。されば懲役三年及び罰金千圓を言渡した原判決の宣告刑は、第一審判決の宣告刑に比べると、罰金に…