第一審判決の不定期刑を第二審判決で定期刑に変更する場合において、両者の刑の軽重は、右第一審判決の不定期刑の中間位を標準とし、これを定期刑の刑期と比較対照して、その長い方を重いとする、いわゆる中間位説に従つて決すべきものである。
第一審判決の不定期刑を第二審判決で定期刑に変更する場合における刑の軽重の比較
刑法10条,少年法52条,刑訴法402条
判旨
第一審の不定期刑を第二審で定期刑に変更する場合、両者の刑の軽重は不定期刑の中間位を標準とし、これを定期刑の刑期と比較して長い方を重いと判断すべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の刑の軽重の比較(特に不利益変更禁止の原則等に関連する場面)において、不定期刑と定期刑を比較する際の標準となる基準は何か。
規範
第一審判決の不定期刑を第二審判決で定期刑に変更する場合における刑の軽重の比較は、不定期刑の長期または短期を標準とするのではなく、不定期刑の長期と短期の「中間位」を標準とし、これを定期刑の刑期と比較対照して、その期間が長い方を重い刑と解すべきである(中間位説)。
重要事実
被告人Aに対し、第一審判決は懲役5年以上8年以下の不定期刑を言い渡した。これに対し、第二審(原審)は第一審判決を破棄し、被告人Aに懲役5年の定期刑を言い渡した。弁護人は、この二つの刑の軽重が同じであるとして、原審の判断を不当として上告した。
あてはめ
本件における第一審の刑は懲役5年以上8年以下の不定期刑であり、その中間位を算定すると6年6月となる。これに対し、原審が言い渡した定期刑は懲役5年である。中間位である6年6月と定期刑の5年を比較すると、原審の刑の方が短いため、原審の科刑は第一審よりも軽いと評価される。なお、補足意見によれば、不定期刑では5年を超えて服役する可能性があるのに対し、定期刑5年ではそれを超えることがない点からも、後者が軽いことは明白であるとされる。
結論
不定期刑(5年以上8年以下)の中間位(6年6月)よりも定期刑(5年)の方が短いため、原審の判決は第一審より軽い刑を言い渡したものとして適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
少年法に基づく不定期刑と、成人の定期刑(または刑法上の法定刑)を比較する際の解釈指針となる。不利益変更禁止の原則(刑訴法402条)の成否を判断する場面において、定期刑と不定期刑が混在する場合の客観的な比較基準として「中間位説」を用いるべきことを示している。
事件番号: 昭和24(れ)1881 / 裁判年月日: 昭和29年1月20日 / 結論: 破棄自判
一 予備罪には中止未遂の観念を容れる余地がない。 二 第一審が旧少年法第八条に従い、懲役二年六月以上四年以下の不定期刑を言い渡した被告人が控訴の申立をした事件において、第二審がその判決時において既に成人となつていた被告人に対し、右不定期刑の中間位である三年三月より重い懲役四年の定期刑を言い渡したときは旧刑訴第四〇三条に…