一 予備罪には中止未遂の観念を容れる余地がない。 二 第一審が旧少年法第八条に従い、懲役二年六月以上四年以下の不定期刑を言い渡した被告人が控訴の申立をした事件において、第二審がその判決時において既に成人となつていた被告人に対し、右不定期刑の中間位である三年三月より重い懲役四年の定期刑を言い渡したときは旧刑訴第四〇三条に違反する。註。田中、井上、谷村各裁判官は中間説に同調
一 予備罪と中止未遂の関係 二 第一審判決の不定期刑を第二審が定期刑にする場合と旧刑訴第四〇三条
刑法43条,刑法237条,刑法10条,旧刑訴法403条,旧少年法8条
判旨
不定期刑を言い渡した第一審判決に対し被告人のみが控訴した場合、控訴審が言い渡す定期刑が不定期刑の中間位を超えるときは、不利益変更禁止の原則に抵触し許されない。
問題の所在(論点)
被告人のみが控訴した事件において、第一審の不定期刑に対し、控訴審が不定期刑の長期と同期間の定期刑を言い渡すことは、不利益変更禁止の原則(刑事訴訟法402条)に違反するか。不定期刑と定期刑の軽重の比較基準が問題となる。
規範
不利益変更禁止の原則(刑訴法402条。旧刑訴403条)において、第一審の不定期刑と控訴審の定期刑の軽重を比較するにあたっては、不定期刑の長期と短期の中間位を基準とすべきである。言い渡された定期刑がこの中間位を超える場合は、第一審判決の刑より重い刑を言い渡したものと解される。
重要事実
第一審当時18歳未満の少年であった被告人に対し、第一審裁判所は懲役2年6月以上4年以下の不定期刑を言い渡した。被告人のみが控訴したところ、控訴審(原審)は、被告人が既に少年でなくなっていたことから、検察官の控訴がないにもかかわらず、被告人に対し懲役4年の定期刑を言い渡した。
事件番号: 昭和24(れ)2386 / 裁判年月日: 昭和25年1月19日 / 結論: 棄却
被告人Aに對し、第一審判決は所論のごとく、同人を少年と認め四年以上六年以下の懲役及び罰金五百圓(金二〇圓を一日に換算して勞役場留置を言渡し、原審判決は成年として懲役三年及び罰金千圓(換算率前同様)を言渡したことは記録上明白である。されば懲役三年及び罰金千圓を言渡した原判決の宣告刑は、第一審判決の宣告刑に比べると、罰金に…
あてはめ
本件において、第一審が言い渡した不定期刑は懲役2年6月(短期)以上4年(長期)以下である。この短期と長期の中間位を算出すると3年3月となる。これに対し、原審が言い渡した定期刑は懲役4年であり、中間位である3年3月を明らかに超えている。したがって、原審の言い渡した刑は第一審の刑よりも重いものといえる。
結論
原判決は不利益変更禁止の原則に違反し、破棄を免れない。被告人を懲役3年に処するのが相当である。
実務上の射程
少年法上の不定期刑が介在する場合の不利益変更禁止の基準を示した重要判例である。答案上は、定期刑と不定期刑の比較においては「長期説」「短期説」などの対立があることに留意しつつ、判例の「中間位説」を規範として明示し、具体的な月数を計算してあてはめる必要がある。
事件番号: 昭和25(れ)1653 / 裁判年月日: 昭和26年3月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審で言い渡された不定期刑が、控訴審判決時において被告人が成年に達したことにより、その長期を超えない範囲内の定期刑に変更された場合、不利益変更禁止の原則に反しない。 第1 事案の概要:第一審は、当時少年であった被告人に対し、懲役3年以上5年以下の不定期刑を言い渡した。被告人が控訴し、控訴審(原審…
事件番号: 昭和23(れ)745 / 裁判年月日: 昭和23年12月14日 / 結論: 棄却
一 連續一罪を構成すべき數多の行爲を判示するには各個の行爲の内容を一々具體的に判示することを要せず數多の行爲に共通した犯罪の手段方法その他の事實を具體的に判示する該其連續した行爲の始期終期、回數等を明らかにし且つ財産上の犯罪であつて被害者又は賍額に異同があるときは被害者中ある者の氏名を表示する外他は員數を掲げ賍額の合計…