判旨
法律審である最高裁判所は、事実認定の不当を理由とする上告理由については、原則として取り上げることができない。
問題の所在(論点)
事実誤認を理由とする上告が、法律審である最高裁判所において適法な上告理由として認められるか。
規範
法律審の性格に鑑み、事実認定に係る不服申し立ては、憲法施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律等に基づき、審理の対象外とする。
重要事実
被告人は、第二審(控訴審)が横領でない事実を横領であると認定したことは不当であるとして上告した。その他の事実関係については判決文からは不明。
あてはめ
被告人の主張は、第二審の事実認定の不当を訴えるものであるが、最高裁判所は法律審であり、事実認定の当否を直接判断する権限を持たない。したがって、刑事訴訟法施行法等の規定に基づき、当該事由は適法な上告理由には当たらないと解される。
結論
被告人の事由は法律審において取り上げるべきものではなく、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟において、上告審が法律審であることを示す基本的事例であり、単なる事実誤認の主張が上告理由にならないことを確認する際に参照される。ただし、現行の刑事訴訟法下では判例違反や著しい正義に反する事実誤認(411条3号)等の例外がある点に留意が必要である。
事件番号: 昭和27(あ)4920 / 裁判年月日: 昭和28年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において第一審の事実認定を支持した原判決の判断が正当である場合、証拠の採否を含む事実誤認の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の判決に対し、事実誤認および訴訟法違反を理由に控訴したが、原判決(第二審)は第一審の事実認定を証拠に照らし十分肯定できるもの…