判旨
刑事訴訟法応急措置法13条2項は、量刑不当や事実誤認等を上告理由とすることを制限するだけでなく、上告審における職権調査手続(旧刑訴法434条3項)をも省かせる趣旨である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法応急措置法13条2項の規定が、旧刑事訴訟法434条3項に基づく裁判所の職権調査手続をも排除する趣旨であるか、および同条項の有効性。
規範
刑事訴訟法応急措置法13条2項の規定は、単に量刑不当や事実誤認等を適法な上告理由から除外するにとどまらず、裁判所に対し、旧刑事訴訟法434条3項に基づく職権調査を行う義務や権限を免除させ、その手続を省略させる趣旨を含むものと解される。
重要事実
被告人が量刑不当および事実誤認を理由として上告を提起した事案。弁護人は、応急措置法13条2項が上告理由を制限しているとしても、裁判所には旧刑訴法上の職権調査権限が残されているはずであり、同条項を理由に調査を行わないのは無効である旨を主張した。
あてはめ
最高裁判所は、過去の大法廷判決(昭和25年11月29日判決)を引用し、応急措置法13条2項の趣旨を検討した。同条項は、上告理由を限定することで上告審の負担を軽減し、迅速な裁判を実現する目的がある。そのため、当事者の主張に基づかない職権調査についても、旧刑訴法434条3項の規定にかかわらず、これを省かしめる趣旨であると解するのが相当である。したがって、職権調査の権限があることを前提とする弁護人の無効主張は、前提を欠くものである。
結論
本件上告は、適法な上告理由に当たらない主張を理由とするものであり、かつ裁判所に職権調査の義務もないため、棄却される。
実務上の射程
現行刑事訴訟法下においても、411条の職権破棄条項が「できる」という裁量的規定であることの解釈において、上告審の性格(事後審・法律審)を強調する文脈で参照され得る。特に、上告理由に当たらない事由について、裁判所がどの程度まで職権で事実関係を調査すべきかという限界を示す一資料となる。
事件番号: 昭和25(れ)1484 / 裁判年月日: 昭和25年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴応急措置法13条2項が旧刑事訴訟法434条3項の規定にかかわらず有効であることを確認し、事実誤認や量刑不当を上告理由として認めない判断を示した。 第1 事案の概要:被告人は衣類90余点について賍物故買(現在の盗品等有償譲受け罪等に相当)を行った事実により有罪判決を受けた。これに対し、被告人側は…