判旨
勾留更新手続に一期間分の決定が欠けるなどの違法があっても、その違法は別途の救済手続で争われるべきものであり、当然に判決自体の違法をもたらすものではない。
問題の所在(論点)
勾留更新手続において一定期間の更新決定が漏れていたという手続上の違法がある場合、その違法は被告事件の終局判決(判決自体)を違法とする事由となるか。
規範
勾留更新手続に違法があったとしても、そのことによって直ちに被告事件の判決自体に違法が生じるわけではない。勾留の違法に対しては、勾留の理由や必要性を争うなど別途の不服申立手続によって救済を受けるべきである。
重要事実
被告人は、住居侵入及び強盗致死の罪で起訴され、勾留状の執行を受けていた。原審における勾留期間中、昭和24年10月25日から同年12月25日までの期間について、1ヶ月分の勾留更新決定がなされないまま身体拘束が継続された期間があった。弁護人は、この勾留更新手続の欠缺(違法)を理由に、原判決の破棄を求めて上告した。
あてはめ
本件では、指摘の通り1ヶ月分の勾留更新決定がなされていない期間が存在し、その間の勾留が違法であった可能性がある。しかし、勾留は公判手続とは別個の身体拘束に関する手続であり、更新手続の不備は、準抗告や勾留の取消・執行停止等の別途の救済手段によって是正されるべき性質のものである。したがって、勾留更新の不備という事由は、原判決の認定や擬律に直接影響を及ぼすものではないため、判決を破棄すべき違法にはあたらない。
結論
勾留更新手続上の違法は、直ちに判決自体の違法を来すものではないため、上告理由は採用できない。
実務上の射程
身体拘束に関する手続的違法と、実体判決の有効性は切り離して考えるべきという原則を示す。ただし、違法な勾留中に得られた自白の証拠能力(違法収集証拠排除法則)の問題とは別次元の判断であることに注意を要する。
事件番号: 昭和24(れ)2206 / 裁判年月日: 昭和24年12月26日 / 結論: 棄却
原審第二回公判調書には、證據調に際して被告人に對して意見辯解を述べる機會を與えた旨が記載されている。その際辯護人にもその機會を與えたということは、特に記載されてはいないけれども、辯護人は公判廷に立會つていたのであるから、意見辯解を述べることができた筈である。(特に辯論を制限したよな事實は認められない)それ故に原審の證據…
事件番号: 昭和24(れ)1087 / 裁判年月日: 昭和24年7月16日 / 結論: 破棄差戻
原審裁判所は昭和二三年一二月一八日に第二回公判を開廷し、越えて同二四年二月一五日に至り、第三回公判を開廷した。その間一五日以上の期間を經過しているにもかかわらず原審裁判長は第三回公判期日に手續の更新をした跡の見るべきものがない。してみれば原審は手續の更新をしなかつたものと云わなくてはならないのであつて論旨は理由があり原…
事件番号: 昭和29(あ)3846 / 裁判年月日: 昭和30年12月26日 / 結論: 棄却
公判手続の更新に関する刑訴第三一五条の規定は控訴審においても準用せらるべきである。