第二審判決に對する上告は、その判決自體か、又はその判決の基本となつた審判の訴訟手續が法令に違反したことを理由としなければならないのであつて、かりに本件被告人に對する拘禁が、辯護人の主張するように、その拘禁繼續の中途において、勾留更新の手續に違法があつたとしても、それは別途に救濟の手續を履踐すべきものであつて、そのことが直ちに原判決自體を違法ならしむるものでもなければ、また判決の基本となつた審判の手續に違法があつたともいえないのであから、結局、論旨は原判決に對する上告の理由として、適法なものということができない。(昭和二二年(れ)第二二五號、昭和二三年(れ)第六五號參照)。
勾留更新手續の違法と上告理由
刑訴法113條,刑訴法411條
判旨
勾留更新手続に違法があったとしても、そのことが直ちに原判決自体を違法とするものではなく、また判決の基本となった審判の手続の違法にも当たらない。身体拘束に関する手続的違法については、別途の救済手続によって争われるべきであり、上告理由にはならない。
問題の所在(論点)
勾留更新手続における裁判官の除斥事由等の法令違反が、当該被告事件の終局判決に対する上告理由(判決に影響を及ぼすべき法令違反または判決の基本となった審判手続の違法)となるか。
規範
上告理由は、判決自体または判決の基本となった審判の訴訟手続が法令に違反したことを要する。被告人に対する拘禁継続の中途において勾留更新の手続に違法があったとしても、それは別途の救済手続を履践すべき事柄であり、当然に判決自体を違法ならしめるものではなく、判決の基本となった審判手続の違法(刑事訴訟法上の絶対的上告理由等)にも該当しない。
重要事実
被告人は第一審で有罪判決を受け、控訴審(広島高裁)に係属していた。控訴審においてなされた勾留更新決定に、第一審の審理・判決に関与した裁判官が関与していた。弁護人は、当該裁判官が除斥されるべきであったにもかかわらず勾留更新に関与したことは違法であり、新憲法下の身体の自由尊重の観点から、判決との因果関係がなくとも常に上告理由になると主張して上告した。
あてはめ
本件における勾留更新手続の適否は、被告人の身体拘束の適法性に関する問題である。仮に弁護人が主張するように、除斥されるべき裁判官が勾留更新決定に関与したという手続上の違法があったとしても、その手続は判決を導き出すための「判決の基本となった審判の手続」そのものではない。また、勾留の適否は判決の内容(罪体や刑量)を左右するものではないため、原判決自体を違法とする事由にはなり得ない。このような身体拘束の違法については、準抗告等の別途用意された救済手段によって争われるべき性質のものである。
結論
勾留更新手続の違法は適法な上告理由には当たらないため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
訴訟手続の違法が上告理由となるためには「判決の基本となった」ことが必要であり、終局判決の判断過程と直接関連しない付随的な手続(勾留等)の違法は原則として上告理由にならないことを示した。答案上、身体拘束の違法が本案判決に及ぼす影響を否定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)447 / 裁判年月日: 昭和23年12月1日 / 結論: 棄却
一 被告人の勾留場所の變更、勾留更新決定の送達遲延等については、所論のとおり刑事訴訟法の定めている手續が履踐されていないような節がある。しかしながら、かかる點に違法が存するとしても、その是正のためにする不服の道は他にあるのであつて、これをもつて上告申立の理由とすることはできない、なぜならば、かかる違法は、法定の絶對的上…
事件番号: 昭和24(れ)789 / 裁判年月日: 昭和24年7月14日 / 結論: 棄却
所論は、第一審判決が与へられるまでに「身体の不当な拘束を必要以上に延引せられたものである」ことは、違法であると主張するのである。しかしながら上告は原則として第二審判決の法令違反を理由とすべきものであつて、かかる第一審判決手続の違法を理由とすることは法律上許されていない。(所論のような違法があるとすればこれに對しては別の…