公判手続の更新に関する刑訴第三一五条の規定は控訴審においても準用せらるべきである。
公判手続の更新に関する刑訴第三一五条と控訴審における準用
刑訴法404条,刑訴法315条
判旨
控訴審において裁判官が交代した場合には公判手続を更新すべきであるが、更新手続が欠如していても、当該裁判官が多数回の公判に関与し実体的審理を行っているなど、判決に影響を及ぼさず破棄しなければ著しく正義に反すると認められない限り、上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
控訴審において裁判官が交代したにもかかわらず公判手続の更新がなされなかった場合、刑事訴訟法315条違反として原判決を破棄すべきか。
規範
控訴審においても、開廷後裁判官が代わった場合には、刑事訴訟法404条・315条により公判手続を更新すべきである。しかし、更新手続を欠く違法があったとしても、そのことが直ちに判決に影響を及ぼし、かつ原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められない限り、刑事訴訟法411条を適用して原判決を破棄することはできない。
重要事実
控訴審の第1回公判期日に関与していなかった細野判事が、その後、現場検証に立ち会い、第2回公判から結審に至るまで計7回にわたり実体的審理に関与した。原審の公判調書には、細野判事の関与にあたり公判手続の更新を行った旨の記載がなかった。これに対し、弁護人は更新手続の欠如を理由に違憲・違法を主張して上告した。
あてはめ
本件では、細野判事は第2回公判から結審まで7回にわたり実体的審理に関与しており、その間、被告人・弁護人のいずれからも異議が出されていなかった。このような状況下では、第2回公判期日に更新手続が行われなかったものとは認めがたい。仮に所論の通り更新手続が欠如していたとしても、同判事は検証以来多数回の公判に関与して十分な審理を行っていることから、当該違法は判決主文に影響を及ぼすものではなく、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められない。
結論
控訴審における裁判官交代後の更新手続欠如は、本件の具体的事実関係の下では判決に影響を及ぼす違法とはいえず、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法315条(公判手続の更新)が控訴審にも準用される(404条)ことを確認しつつ、同条違反を理由とする破棄には411条1号所定の「判決に影響を及ぼすべき著しい法令の違反」が必要であることを示した判例である。実務上、更新手続の懈怠があっても、実質的な審理が尽くされ不利益がない場合には、破棄理由とはならないとの判断枠組みを提供する。
事件番号: 昭和24(れ)2206 / 裁判年月日: 昭和24年12月26日 / 結論: 棄却
原審第二回公判調書には、證據調に際して被告人に對して意見辯解を述べる機會を與えた旨が記載されている。その際辯護人にもその機會を與えたということは、特に記載されてはいないけれども、辯護人は公判廷に立會つていたのであるから、意見辯解を述べることができた筈である。(特に辯論を制限したよな事實は認められない)それ故に原審の證據…
事件番号: 昭和26(れ)1138 / 裁判年月日: 昭和26年8月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の更新後に、更新前の公判期日における証拠調べの結果を直接援用することなく、更新前の公判調書の記載を引用して証拠調べを行う手続は適法である。 第1 事案の概要:被告人の公判において、昭和25年6月27日(第7回公判)の手続が行われた後、弁論の更新がなされた。その後、同年9月26日の公判(第10回…