判旨
事実認定の当否は、原則として事実審裁判所の裁量に属する事項であり、経験則に反する等の違法が認められない限り、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
事実審裁判所が行った事実認定に対し、経験則違反等の具体的な違法を指摘することなく、単にその認定内容を非難することが適法な上告理由となるか。
規範
事実認定は、証拠に基づき事実審裁判所の裁量によって行われるべきものである。したがって、その認定が経験則に反するなどの論理的・合理的な誤りを含まない限り、適法なものとして維持される。
重要事実
被告人が詐欺の罪に問われた事案において、原判決(二審)が証拠に基づき詐欺の事実を認定したことに対し、弁護人がその事実認定に不服があるとして上告を申し立てた。判決文からは具体的な詐欺の手口や被害状況などの詳細は不明である。
あてはめ
原判決が挙げている証拠に照らせば、詐欺の事実認定を肯定することが可能である。また、その認定過程において経験則に反するような違法な点は見当たらない。したがって、弁護人が主張する内容は、単に事実審の裁量に属する事実認定を非難するにとどまるものである。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法上の事実誤認を理由とする上告の限界を示すものである。司法試験においては、事実認定の違法(経験則違反・採証法則違反)を論述する際の前提として、事実認定が原則として事実審の専権であることを示す文脈で使用できる。
事件番号: 昭和29(あ)3056 / 裁判年月日: 昭和30年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない事項や、原審で主張・判断を経ていない違憲主張に基づき上告を棄却した事例である。 第1 事案の概要:被告人が原審の判断に対し、事実誤認、採証法則違反、判断遺脱(減刑令適用の不当)、および違憲を理由として上告を申し立てた事案である。なお、違憲主張については原審において主張・判断が経…