判旨
事実誤認を理由とする上告は、旧刑事訴訟法446条の適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法下において、判決に影響を及ぼすべき事実の誤認があることを上告の理由とすることができるか(上告理由の適格性)。
規範
上告審において事実誤認を主張することは、旧刑事訴訟法446条(現行刑事訴訟法405条等に相当)が定める適法な上告理由に該当しない。
重要事実
弁護人が、被告人の有罪判決に対し、原審の認定した事実に誤りがある(事実誤認)として最高裁判所に上告を申し立てた事案である。
あてはめ
本件上告趣意は、実質的に原判決の事実認定に誤りがあることを主張するものである。しかし、上告審は法律審であり、憲法違反や判例違反などの法定された事由がない限り、単なる事実関係の争いを上告理由として持ち込むことはできない。したがって、所論は事実誤認の主張にとどまり、法律上の上告適法理由には該当しない。
結論
本件上告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
現行刑訴法においても、405条に定める事由(憲法違反、判例違反)以外の事実誤認等は直接の上告理由にならない。実務上は、事実誤認を実質的に争う場合には、刑訴法411条(上告受理の申立て、職権による破棄)を念頭に置いた論証が必要となる。
事件番号: 昭和25(あ)2692 / 裁判年月日: 昭和26年8月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条に規定される適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判決に対し、事実誤認および量刑不当を理由として最高裁判所に上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):刑事訴訟法405条に基づく上告において、事実誤認および量刑不当の…