被告人Aは原審第一回公判期日には出頭しなかつたため相被告人Bと審理を分離され、第二回公判期日以後併合審理されたものであるが、原判決が證據とした前記Bの供述は第一回公判においてなされたものであるから、これを被告人Aに對する關係において證據とするには同被告人に對する審理を合併した第二回以後の公判期日において證據調をしなければならないものである。從つて、被告人Bの原審第一回公判期日における供述を被告人Aの判示事實認定の證據とした原判決には、證據調を行わない證據によつて犯罪事實を認定した違法があるものであり、しかも前記Bの供述は被告人Aにとつて極めて不利益な證據であるから、右の違法は判決に影響を及ぼすべきこと明白である。それゆえ論旨は理由があり破棄を免れない。
被告人の在延しない公判における相被告人の供述を採證した場合と證據調の要否
舊刑訴法336條,舊刑訴法340條,舊刑訴法360條1項
判旨
分離された公判期日における共同被告人の供述を、その後に併合された被告人の有罪認定の証拠とするには、当該被告人に対する関係で改めて証拠調べの手続きを経る必要がある。
問題の所在(論点)
審理が分離されている間になされた共同被告人の公判廷供述を、その後の併合審理において、当該期日に立ち会っていなかった被告人の有罪認定の証拠とするための要件が問題となる。
規範
公判廷における供理は、対審の名の下に被告人の出席及び防御の機会が保障された状態でなされるべきものである。したがって、分離審理中に得られた共同被告人の供述を、後に併合された被告人の事実認定の証拠として用いる場合には、証拠裁判主義(刑事訴訟法317条)の要請から、当該被告人との関係で適法な証拠調べの手続きを経なければならない。
重要事実
被告人AおよびBは共同被告人として起訴されたが、原審第1回公判期日にAが欠席したため、審理が分離された。第1回公判ではBに対する被告人質問等の証拠調べが行われた。第2回公判以降、AとBの審理は併合されたが、裁判所は第1回公判におけるBの供述を録取した公判調書について、Aに対する関係で証拠調べの手続きを一切行わないまま、Bの供述をAの有罪認定の証拠として引用し、判決を言い渡した。
あてはめ
原審は、Aの欠席中に分離して行われた第1回公判におけるBの供述を、Aの事実認定の証拠としている。しかし、第2回公判で審理が併合された後、結審に至るまでの間、Aに対する関係で当該Bの供述内容を確認し、または公判調書を証拠調べる等の手続きが全くなされていない。Bの供述はAにとって極めて不利益な内容を含んでおり、適法な証拠調べを経ずにこれを用いたことは、被告人の防御権を侵害し、判決に影響を及ぼすべき証拠法則の違反があるといえる。
結論
分離審理中の共同被告人の供述を、証拠調べを経ずに被告人の事実認定に用いることは違法である。したがって、本件の原判決中Aに関する部分は破棄を免れない。
実務上の射程
共同被告人の公判廷供述を証拠とする際の手続き的瑕疵を問う場面で活用できる。現行法下(刑事訴訟法303条、304条等)においても、分離・併合がなされる際の証拠調べの厳格性を支える判例として、公判手続の適法性を論述する際に引用すべきである。
事件番号: 昭和28(あ)48 / 裁判年月日: 昭和28年7月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白の補強証拠として、共同被告人の供述を用いることができる。これは、共同被告人との間に共犯関係があるか否かを問わず、互いに他の被告人の自白の補強証拠となり得る。 第1 事案の概要:被告人が検察官に対して自白した調書が存在する事案において、原判決はその自白を補強する証拠として、第一審における…