判旨
判決文が罪証として採用していない証拠に基づき原判決の事実誤認を主張すること、および量刑不当を非難することは、旧刑事訴訟法下において適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法下において、原判決が罪証としていない証拠に基づく事実誤認の主張、および犯情に基づく量刑不当の主張が、適法な上告理由となるか。
規範
上告審において原判決の事実誤認を主張するためには、原判決が罪証として採用した証拠に基づかなければならない。また、量刑の不当を理由とする上告は、適法な上告理由として認められない。
重要事実
被告人が、原判決が罪証として採用していない被告人自身の原審公判廷における自供部分やその他の証拠に基づき、原判決に事実誤認があると主張した。さらに、被告人の犯情等に照らして原判決の量刑が不当であると主張して上告を申し立てた。
あてはめ
被告人の主張のうち、事実誤認の指摘は、原判決が罪証に供していない証拠(自供等)を根拠としており、判決の基礎となった事実認定を正当に攻撃するものとはいえない。また、量刑不当の主張は、単なる犯情の再評価を求めるものであり、法の定める上告事由に該当しない。
結論
本件各主張はいずれも適法な上告理由とならないため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は旧法下の判断であるが、現行法においても上告理由は限定されており(刑訴法405条各号)、単なる事実誤認や量刑不当は原則として上告理由にならないという実務上の運用の基礎を示すものである。
事件番号: 昭和28(あ)1193 / 裁判年月日: 昭和29年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において主張されず、原審の判断を経ていない違憲の主張は、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、第一審の訴訟手続が憲法に違反しており、これを維持した原判決(控訴審判決)は違法である旨を主張して上告した。しかし、当該違憲の主張は、控訴審における控訴趣意としては提出され…