判旨
物価統制令違反罪の成立後、価格の統制額を指定する告示が改廃されたとしても、一度成立した犯罪の処罰はこれによって左右されない。
問題の所在(論点)
物価統制令に基づく価格指定告示が犯行後に改廃された場合、刑法6条(刑の変更)の問題として、あるいは法律の廃止による訴訟終結(免訴)の原因として、処罰を免れることになるか。
規範
特定の価格を規制する告示の改廃があったとしても、その行為時において法令の禁止に触れていたのであれば、後の法令・告示の変更によって既に成立した犯罪の可罰性は消滅しない。
重要事実
被告人は昭和23年2月末から3月にかけて、魚類等の販売につき当時の物価庁告示(昭和22年11月25日付)に定められた統制額を超えた価格で取引を行い、物価統制令違反として起訴された。その後、当該告示が改廃されたため、処罰の可否が争われた。
あてはめ
被告人の行為は、行為時に有効であった物価庁告示の指定する統制額を超えたものであり、物価統制令3条、4条、33条に違反する犯罪が成立している。最高裁の判例によれば、一度成立した物価統制令違反罪の可罰性は、その後の告示の改廃といった事情により影響を受けるものではない。したがって、行為後に告示が改廃されたとしても、被告人の罪責には影響しないと解される。
結論
被告人は、行為時の告示に基づき物価統制令違反罪として処罰される。
実務上の射程
いわゆる「限時法」や「法令の変更」の議論において、行政上の便宜や経済情勢に応じた告示の変更が「事実上の変更」に過ぎないか「法律上の変更」かを問わず、可罰性を維持する判例として、刑法6条の解釈の文脈で引用可能である。
事件番号: 昭和25(れ)1207 / 裁判年月日: 昭和25年11月9日 / 結論: 棄却
原審が本件につき適用した昭和二二年九月一日物価庁告示第五二五号(原判決に昭和二一年とあるは同二二年の誤記と認める)は、判示昭和二三年三月中に行われた被告人の犯行当時における加工水産物の販売価格の統制額を指定していたものである。尤も同告示は同二三年四月一九日同庁告示第二二九号により、新統制額が指定されるとともに廃止され、…