判旨
判決書に明白な誤記・脱字があっても、判文の意義趣意を十分に諒解し得る程度のものであれば、判決の違法とはならない。
問題の所在(論点)
判決書における誤記・脱字が、判決を破棄すべき違法(刑事訴訟法上の判決の不備等)に該当するか。
規範
判決書における軽微な誤記や脱字は、それによって判決の意義や趣旨が不明確にならない限り、直ちに判決を違法ならしめる事由とはならない。具体的には、判決文を全体として通読した際に、脱字があったとしても容易にその本来の意味が理解できる程度のものであれば、判決に違法はないと解すべきである。
重要事実
被告人が上告した事案において、原判決の判文中に「継続」の「続」の一字、および「則った」または「従った」の「則」または「従」の一字がそれぞれ脱落していた。弁護人は、この脱字を捉えて原判決には違法がある旨を主張して上告した。
あてはめ
本件における脱字は、判文を通読すれば「継続」や「則った/従った」を指していることが容易に理解できる。このように明白な脱字であって、かつその状態でも判決の意義や趣旨を十分に把握することが可能である。したがって、形式的な誤りはあるものの、実質的な判決の内容に影響を与えるような違法があるとは認められない。
結論
本件の脱字は判決を違法とするものではないため、上告を棄却する。
実務上の射程
判決の更正(民訴法257条、刑訴法では明文規定はないが類推適用等)の対象となるような軽微なミスの限界を示している。司法試験の実務基礎や手続法において、判決書の形式的不備が直ちに絶対的控訴・上告理由にならないことを論じる際の根拠となる。ただし、理由の食い違いや主要事実の認定を左右する誤記であれば、結論は異なり得る点に注意が必要である。
事件番号: 昭和25(れ)1319 / 裁判年月日: 昭和25年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、量刑不当および事実誤認の主張は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の量刑が不当であること、および事実の誤認があることを理由として上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行刑事訴訟…