判旨
被告人の家庭環境や被害弁償といった情状に関する主張のみでは、刑事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
家庭の状況や被害弁償の事実といった「情状に関する主張」が、適法な上告理由(刑訴法405条、411条等参照)となるか。
規範
上告審は法律審であり、上告理由は刑事訴訟法(施行法により適用される旧法を含む)に規定された事由に限定される。単なる量刑不当をいうに等しい事実関係の主張や情状の訴えは、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
被告人が、自身の家庭環境の困窮や、事後の被害弁償といった自己に利益となる情状を挙げ、寛大な判決(刑の減軽等)を求めて上告した事案。
あてはめ
被告人の主張は、家庭の情況や被害弁償といった事実を挙げて寛大な処分を求めるものに過ぎない。これらは法律上の判断の誤りや重大な事実誤認等を指摘するものではなく、上告審が審理すべき法的瑕疵の主張を含まないため、不適法な主張であると評価される。
結論
被告人の主張は適法な上告理由とならないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
上告理由の限定性を示す基礎的な判例である。答案上は、情状不当のみを理由とする上告が原則として認められないことを説明する際、刑訴法405条各号の事由に該当しないことを基礎付ける根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)864 / 裁判年月日: 昭和25年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、当時の刑事訴訟法応急措置法13条2項の規定により、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人は、第二審判決(原判決)が認定した事実は真実と相違していると主張し、事実誤認を訴えた。また、刑の執行猶予を求める旨の申し立てを行い、量刑の不当を主張して上告した…
事件番号: 昭和25(あ)2906 / 裁判年月日: 昭和26年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単なる訴訟法違反の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当せず、また職権で破棄すべき事由も認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が、原審の判断に対し訴訟法違反を主張して上告を申し立てた事案。なお、具体的な事実関係の詳細は判決文からは不明である。 第2 問題の…