判旨
上告趣意書において原判決の審理不尽や認定誤認を主張する場合、単に漫然と主張するだけでは足りず、具体的にどのような違法があるかを明示する必要がある。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法446条(現行刑訴法382条、384条、および規則253条等に相当)に基づく上告趣意の記載において、抽象的な不服申立てが「上告の理由の明示」にあたるか。
規範
上告趣意書は上告の理由を明示しなければならない。具体的にいかなる違法があるかを説明していない主張は、上告の理由を明示したものとは認められない。
重要事実
被告人が原判決について「審理を尽さず且認定を誤りたるものである」と主張して上告を申し立てた。しかし、その趣旨を説明する具体的な違法の指摘が欠けていた。
あてはめ
被告人の主張は、原判決が審理不尽・事実誤認であると述べるにとどまり、どの事実について、どのような理由で誤りがあるのかといった具体的な違法事由を説明していない。このような漫然とした主張は、上告理由を特定するものとは評価できない。
結論
本件上告趣意は理由の明示を欠くため、適法な上告理由として採用できず、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟手続における不服申立書の記載の具体性を要求する趣旨。実務上、事実誤認や法令違背を主張する際は、判決のどの部分にどのような誤りがあるかを個別具体的に指摘しなければ、不適法として門前払いを受けるリスクがあることを示唆している。
事件番号: 昭和25(あ)2740 / 裁判年月日: 昭和26年8月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由には該当しない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の量刑が重すぎるとして上告を申し立てた事案。弁護人は、量刑不当を理由に上告趣意書を提出した。 第2 問題の所在(論点):量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由として認められるか。 第3…