判旨
判決訂正の申立において、訴訟手続に関する刑事訴訟規則の違憲のみを主張し、判決内容の誤りを主張しない場合は、刑事訴訟法415条1項の申立理由として不適法である。
問題の所在(論点)
判決訂正の申立(刑事訴訟法415条1項)において、判決内容の誤りではなく、訴訟手続の根拠となる規則の違憲のみを主張することが、適法な申立理由として認められるか。
規範
刑事訴訟法415条1項に基づく判決訂正の申立が適法となるためには、最高裁判所のなした判決の内容に誤りがあることを主張しなければならない。単に訴訟手続に関する規則の違憲を主張するにとどまる場合は、同条の予定する申立理由には当たらない。
重要事実
申立人は、最高裁判所の判決に対し、刑事訴訟法415条1項に基づき判決訂正の申立を行った。その申立理由は、当裁判所の訴訟手続に関する刑事訴訟規則が憲法に違反するというものであったが、判決の内容自体に誤りがあるという主張は含まれていなかった。
あてはめ
本件申立において、申立人は当裁判所の訴訟手続に適用された刑事訴訟規則の違憲を主張している。しかし、これは判決を導く手続の前提に関する不服にすぎず、判決の内容そのものに誤りがあることを具体的に指摘するものではない。したがって、判決内容の誤りを訂正の対象とする同条の趣旨に照らし、適法な理由の主張とはいえない。
結論
本件申立は適法な理由を欠くため、刑事訴訟法417条1項により棄却される。
実務上の射程
判決訂正の申立の対象は「判決の内容の誤り」に限定されることを確認した事例である。司法試験においては、上訴不可欠の原則や判決の確定後の救済手段を論じる際、訂正申立が極めて限定的な事由(計算違いや明白な誤記等)に基づくものであることを説明する文脈で参照し得る。
事件番号: 昭和26(み)10 / 裁判年月日: 昭和26年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有価証券偽造等被告事件において、最高裁判所は、宣告された上告棄却の判決に対し、裁判の内容に誤りがないと判断し、判決訂正の申立を棄却した。 第1 事案の概要:被告人は有価証券偽造、同行使、詐欺の罪に問われ、昭和26年10月18日に最高裁判所から上告棄却の判決を受けた。これに対し、被告人側から判決訂正…
事件番号: 昭和25(す)211 / 裁判年月日: 昭和25年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法561条に基づく疑義の申立ては、裁判主文の趣旨について疑いがある場合にその解釈を求める手続であり、上告棄却判決の理由について疑義を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が上告を棄却した判決について、その内容に不服があるとして、旧刑訴法561条に基づき、判決…
事件番号: 昭和25(れ)1300 / 裁判年月日: 昭和25年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人による事実誤認および量刑不当の主張は、いずれも適法な上告理由にはあたらない。したがって、旧刑事訴訟法の規定に基づき本件上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人およびその弁護人が、原判決(下級審の判断)に対して上告を申し立てた事案である。被告人側は、原判決には事実の誤認があり、…