本件はいわゆる跳躍上告事件であるが、検察官でない者が、地方裁判所のした第一審判決に対して控訴審を飛び越え最高裁判所に上告をするには、その第一審の判決において法律等が憲法に違反するものとした判断が不当であることを理由とするときに限り許されるものであつて、本件のごとくかかる判断を含まない第一審判決の違憲を理由として跳躍上告をすることは許されないことは、刑訴四〇六条、刑訴規則二五四条によつて明白である。
刑訴規則第二五四条と跳躍上告の適否
刑訴法406条,刑訴規則254条1項
判旨
検察官以外の者が、地方裁判所の第一審判決に対し控訴をせず直接最高裁判所へ跳躍上告を行うには、第一審判決が法律等を憲法違反と判断し、その判断の不当を理由とする場合に限られる。
問題の所在(論点)
検察官以外の者が、第一審判決において法律等の違憲判断がなされていないにもかかわらず、第一審判決の違憲を理由として刑事訴訟法406条に基づく跳躍上告をすることができるか。
規範
刑事訴訟法406条及び刑事訴訟規則254条によれば、検察官以外の者が跳躍上告(控訴をせず第一審判決から直接最高裁判所へ上告すること)をなし得るのは、当該第一審判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に違反するものとした判断が不当であることを理由とする場合に限られる。
重要事実
被告人側(弁護人)が、地方裁判所の第一審判決に対し、控訴の手続きを経ることなく最高裁判所に跳躍上告を申し立てた。なお、当該第一審判決は法律等が憲法に違反する旨の判断を含んでいなかった。
あてはめ
本件において、申し立てられた跳躍上告は第一審判決が法律等を憲法違反とした判断の不当を争うものではない。刑事訴訟法406条が定める跳躍上告の要件は、憲法違反の「判断」が含まれていることとその不当性を争点とすることであり、単に第一審判決自体の違憲を主張するだけでは同条の要件を欠くといえる。
結論
本件跳躍上告は、法定の要件を満たさない不適法な申し立てであるため、棄却を免れない。
実務上の射程
刑事訴訟における跳躍上告の許容範囲を厳格に画定した。第一審判決で違憲判断が示されていない場合に、憲法違反を理由として上告を希望するならば、原則どおり控訴の手続きを経る必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和26(あ)3164 / 裁判年月日: 昭和26年11月1日 / 結論: 棄却
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【結論(判旨の要点)】検察官でない者が、地方裁判所の第一審判決に対し最高裁判所へ跳躍上告をすることは、原判決における憲法判断または条例等の法律違反判断が不当であることを理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:被告人および弁護人は、地方裁判所が言い渡した第一審判決に対し、最高裁判所を上告裁判所とする跳躍上告を申し…