判旨
検察官以外の者が第一審判決に対し跳躍上告を行うためには、当該判決において法令が憲法に違反する等の積極的な違憲・違法の判断が示されており、かつその判断が不当であることを理由とする場合に限られる。
問題の所在(論点)
検察官以外の被告人による跳躍上告が適法と認められるための要件およびその射程が問題となる。
規範
上告は原則として高等裁判所の判決に対してなされるものである。検察官以外の者が第一審判決に対し跳躍上告を行うには、刑訴規則254条に基づき、判決において法律等が憲法に違反するとした判断、または条例等が法律に違反するとした判断が不当であることを理由とする場合に限定される。
重要事実
被告人が、高等裁判所による判決を経ることなく、地方裁判所、家庭裁判所または簡易裁判所のいずれかが下した第一審判決に対し、跳躍上告を申し立てた。しかし、その上告理由は、原判決に含まれる積極的な違憲・違法の判断を争うものではなかった。
あてはめ
本件上告は、高等裁判所がした判決に対するものではなく、第一審判決に対する跳躍上告である。跳躍上告が許容されるためには、原判決に法令の違憲判断等が含まれ、それを不服とする必要があるが、被告人の上告趣旨にはそのような法定の事由に該当する主張が含まれていない。したがって、刑事訴訟規則254条に定める跳躍上告の要件を満たさない不適法な申し立てであるといえる。
結論
本件上告は不適法であり、刑訴法414条、386条1項3号に準じて棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における跳躍上告の要件(刑訴規則254条)を厳格に解釈した事例。実務上、被告人側からの跳躍上告は、一審判決が「法令を違憲と判断したこと」に対する不服がある場合に極めて限定的に認められるに過ぎないことを示す。
事件番号: 昭和43(あ)1955 / 裁判年月日: 昭和44年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官でない者が、地方裁判所の第一審判決に対し最高裁判所へ跳躍上告をすることは、原判決における憲法判断または条例等の法律違反判断が不当であることを理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:被告人および弁護人は、地方裁判所が言い渡した第一審判決に対し、最高裁判所を上告裁判所とする跳躍上告を申し…