判旨
上告の理由として判例違反を主張する場合には、刑訴規則253条に基づき、具体的な判例を示す必要があり、実質的に量刑不当を主張するのみで具体的な判例を示さない上告は不適法である。
問題の所在(論点)
上告趣意において「判例違反」を主張する場合に、具体的な判例の摘示がない、あるいは実質的な内容が単なる「量刑不当」の主張にすぎない場合に、適法な上告理由として認められるか。
規範
最高裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由として上告を申し立てる場合には、刑事訴訟規則253条に基づき、具体的かつ明確にその判例を示す義務がある。具体的な判例の摘示を欠き、実質的に単なる量刑不当を主張するにすぎないものは、適法な上告理由を構成しない(刑訴法414条、386条1項2号)。
重要事実
上告人は、原判決が最高裁判所の判例と相反する判断をしたと主張して上告を申し立てた。しかし、その主張は名目的な判例違反の主張にすぎず、実際には量刑が不当であることを争うものであった。また、具体的にどの判例に違反しているのかについても、上告趣意書において示されていなかった。
あてはめ
本件における上告人の主張は、形式的には判例違反を名目としているが、その内容は量刑の不当を訴えるにとどまっている。また、刑事訴訟規則253条が求める「判例の具体的示示」が全くなされていない。したがって、形式上の不備のみならず、実質的にも刑訴法が定める上告理由(判例違反等)を具体的に具備していないといえる。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠く不適法なものとして棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法上の上告審の構造(事後審・法律審)を理解するための基礎的な判例である。答案上は、上告理由の適格性や、刑訴規則に基づく具体的記載義務の重要性を指摘する際の根拠として活用できる。特に実質的な主張内容が量刑不当にすぎない場合の不適法性を説明する際に有用である。
事件番号: 昭和25(あ)553 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実質的に量刑不当を主張するにすぎない上告理由は、違憲の語を用いていても適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人が、原審の量刑が不当であるとして上告を申し立てた事案。弁護人は、上告趣旨において「違憲」という用語を使用していたが、その主張の内容は、原審が適法に行った量刑が重すぎるなど、…