判旨
医師法17条にいう「業」とは、反復継続の意思をもって医行為を行うことを指し、営利の目的(生活上の資料を得る目的)や報酬の有無は、その成立を左右しない。
問題の所在(論点)
医師法17条が禁止する無免許医業における「業」の意義について、営利の目的(生活上の資料を得る目的)や現実の報酬の授受が必要とされるか。
規範
医師法における「業」とは、反復継続の意思をもって医行為を行うことをいう。これに該当するか否かの判断においては、行為者が生活上の資料を得る目的(営利目的)を有していることは必要ではなく、また、当該行為に対する報酬の有無も問わない。
重要事実
被告人が医術を業とする目的で医行為を行ったとされる事案において、原判決は被告人の行為を医行為と認定した。しかし、原判決が当該行為に対する報酬の有無について何ら判示していなかったことから、弁護人は営利目的等の欠如を理由に、判例違反(医業の定義に反する)を主張して上告した。
あてはめ
医業の定義として、反復継続の意思をもって医行為を行うことが本質である。本件において、原判決が被告人の行為を「医術を業とする目的」に基づいたものと認定している以上、その行為により生活費を得ようとしていたか、あるいは実際に報酬を得ていたかという事実は、構成要件の充足性を左右するものではない。したがって、報酬の有無に触れずに「業」としての成立を認めた原判決の判断に、過去の判例との矛盾は認められない。
結論
医師法17条の「業」の成立に営利目的や報酬は不要である。したがって、これらを欠いていたとしても、反復継続の意思があれば同条に違反する。
実務上の射程
行政法規の違反における「業」の概念を画定する際、営利性の要否が争点となる場面で引用できる。特に、ボランティア活動や実費のみの提供であっても、反復継続の意思がある限り、資格制による規制(医師法、弁護士法等)を潜脱することは許されないという文脈で活用すべきである。
事件番号: 昭和37(あ)416 / 裁判年月日: 昭和39年5月7日 / 結論: 棄却
原判決の確定しているパスハツピと称する水薬は、薬事法第二条第一項第二号所定の「医薬品」にあたり、被告人等が疾病治療の目的でこれを患者の患部に塗布し又は患者をして持つ帰つて塗布させるためにこれを交付した行為は、所論あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法(昭和二二年法律第二一七号)附則第一九条第一項による届出にかかる医…