一 医師法施行規則第一一条に規定する以外の場所である実父の開業している医院で代診として独立して自ら医行為をするような場合は、実地修練の範囲を超えるものである。 二 医師法にいわゆる医業とは、反覆継続の意思を以つて医行為をすることをいう。
一 医師法第一一条一号にいわゆる実地修練の範囲を超える一事例 二 医師法にいわゆる医業の意義
医師法11条,医師法17条,医師法31条1項1号,医師法施行規則11条
判旨
医師法上の「医業」とは、反復継続の意思をもって医行為を行うことをいい、現実に対価を得ることは必ずしも要しない。また、インターンの実地修練であっても、法令の規定外の場所で独立して医行為を行うことは許されない。
問題の所在(論点)
1. 医師法17条の「医業」の定義において、対価の収受は必要か。2. インターンによる実地修練として、指定外の場所で独立して行う医行為は、同条の禁止する無免許医業に該当するか。
規範
医師法17条にいう「医業」とは、反復継続の意思をもって医行為を行うことを指す。その際、必ずしも現実に対価を得ることは必要としない。また、医師免許を持たない者(インターン等)による実地修練としての医行為が許容されるためには、法令(医師法施行規則等)に規定された適正な場所において、適切な監督下で行われる必要がある。
重要事実
医師免許を有しない被告人が、実父が経営する医院において、いわゆるインターンとして代診を行い、独立して自ら医行為を反復継続した。被告人は、これが医師法に抵触しない実地修練の範囲内であること、および営利目的や対価の収受がなかったこと等を理由に無罪を主張して上告した。
事件番号: 昭和25(あ)3488 / 裁判年月日: 昭和27年7月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】医師法17条にいう「業」とは、反復継続の意思をもって医行為を行うことを指し、営利の目的(生活上の資料を得る目的)や報酬の有無は、その成立を左右しない。 第1 事案の概要:被告人が医術を業とする目的で医行為を行ったとされる事案において、原判決は被告人の行為を医行為と認定した。しかし、原判決が当該行為…
あてはめ
被告人は反復継続の意思を持って医行為を行っており、たとえ現実に対価を得ていないとしても、その行為は「医業」に該当する。また、被告人の行為は実父の医院で代診として独立して行われたものであり、医師法施行規則11条に規定する場所での実地修練の範囲を逸脱している。したがって、補助者の行為や正当な修練とは認められず、無免許での医業停止に反する行為といえる。
結論
被告人の行為は医師法17条に違反する無免許医業に該当する。対価の有無にかかわらず、反復継続の意思があれば「医業」にあたり、法令の定める範囲外での独立した医行為はインターンであっても許されない。
実務上の射程
「医業」の定義として、営利性の要否が争点となる事案で引用すべき判例である。また、資格取得前の実習生等がどの範囲まで医行為を行えるかという限界事例(正当業務行為の成否)を検討する際の基礎的な判断枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和27(あ)6728 / 裁判年月日: 昭和29年8月20日 / 結論: 棄却
長期且つ多数回にわたり数多くの患者を診断して、自己創出にかかる「アウトン」その他の皮下注射、薬物の塗布等をしている以上、たとえ右「アウトン」が有効無害であり、またそれが営利を目的とせず特殊な希望者だけを対象として行つたものだとしても、国民医療法第八条第一項にいう医業をした場合に当る。
事件番号: 昭和28(あ)3373 / 裁判年月日: 昭和30年5月24日 / 結論: 棄却
患者に対し聴診、触診、指圧等を行い、その方法がマツサージ按摩の類に似てこれと異なり交感神経等を刺激してその興奮状態を調整するもので医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うときは生理上危険ある程度に達しているときは、医行為と認めるのが相当である。