患者に対し聴診、触診、指圧等を行い、その方法がマツサージ按摩の類に似てこれと異なり交感神経等を刺激してその興奮状態を調整するもので医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うときは生理上危険ある程度に達しているときは、医行為と認めるのが相当である。
医師法上、医行為に当る事例
医師法17条
判旨
医師法にいう「医行為」とは、医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うときは生理上の危険を生ずるおそれがある程度の行為をいう。指圧等の施術であっても、その態様や程度に照らし、人体に危険を及ぼすおそれがある場合には医行為に該当する。
問題の所在(論点)
医師法17条が禁止する非医師による「医業」の前提となる「医行為」の定義と、単なる指圧等の行為がこれに該当するか。
規範
医師法17条にいう「医行為」とは、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為、すなわち、医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うときは、生理上危険がある程度に達している行為を指すものと解する。
重要事実
被告人は、患者に対し、指にて患部を押さえ又は押す(指圧)等の方法により施術を行った。その際、一切の投薬や注射は行わなかったものの、例外的に聴診器を使用し、また聴診、触診、指圧等の方法を組み合わせて用いていた。被告人は医学上の知識と技能を有しない者であり、当該施術が「医行為」に該当し、無免許医業として処罰されるかが争点となった。
あてはめ
被告人の行為は、単に患部を指で押すのみに止まらず、聴診や触診を伴うものであった。このような一連の施術は、単なるリラクゼーションの域を超え、医学的知識や技能を持たない者が漫然と行えば、人体の生理機能に害を及ぼす危険性がある。したがって、その行為の態様及び程度に鑑みれば、生理上の危険がある程度に達していると認められ、医行為に該当するといえる。
結論
医学的知識のない者が行えば生理上の危険を生じさせるおそれがある行為は「医行為」にあたる。本件の指圧等の施術はこれに該当するため、被告人の行為は医師法違反(無免許医業)を構成する。
実務上の射程
本判決は「生理的危険性」を医行為の判断基準として確立したリーディングケースである。答案上では、行為の態様(器具の使用、侵襲性の有無、診断類似行為の有無)から、素人が行うことによる危険性を具体的に論証する際に用いる。医業該当性は、この医行為を「業として(反復継続の意思をもって)」行うことで認定される。
事件番号: 昭和27(あ)2532 / 裁判年月日: 昭和28年11月20日 / 結論: 棄却
一 医師法施行規則第一一条に規定する以外の場所である実父の開業している医院で代診として独立して自ら医行為をするような場合は、実地修練の範囲を超えるものである。 二 医師法にいわゆる医業とは、反覆継続の意思を以つて医行為をすることをいう。
事件番号: 昭和25(あ)3488 / 裁判年月日: 昭和27年7月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】医師法17条にいう「業」とは、反復継続の意思をもって医行為を行うことを指し、営利の目的(生活上の資料を得る目的)や報酬の有無は、その成立を左右しない。 第1 事案の概要:被告人が医術を業とする目的で医行為を行ったとされる事案において、原判決は被告人の行為を医行為と認定した。しかし、原判決が当該行為…