判旨
被告人が公訴提起後に死亡したことが判明した場合には、刑事訴訟法339条1項3号に基づき、決定をもって公訴を棄却しなければならない。
問題の所在(論点)
公訴提起後の審理中において被告人が死亡したことが判明した場合、裁判所はどのような法的措置を講じるべきか。
規範
刑事訴訟法339条1項3号は、被告人が死亡したときに決定で公訴を棄却すべき旨を定めている。これは、被告人の死亡によって刑罰権の主体が消滅し、適正な手続の遂行が不可能となるため、実体審理を打ち切るべきとする趣旨である。
重要事実
被告人Aは、昭和24年に窃盗の目的で建造物に侵入し、発見された際に逮捕を免れるためナイフで相手を切り付け負傷させた事後強盗傷人の事実で起訴された。しかし、審理の過程において、被告人が「A」という偽名を使用していた真実の氏名「F」であることが判明し、かつ、同人が昭和26年12月14日に死亡していたことが、国家地方警察本部の回答や戸籍抄本等の公的な記録によって確認された。
あてはめ
本件において、公判記録や戸籍謄本等の証拠資料によれば、被告人(本名F)が既に死亡している事実は明白である。被告人の死亡は刑事訴訟法339条1項3号に規定される公訴棄却事由に該当する。また、本件は上告審(第2小法廷)での判断であるが、同法414条・404条の準用に基づき、控訴審・上告審においても第一審の公訴棄却に関する規定が適用される。
結論
被告人が死亡したことが認められるため、本件公訴は棄却される。
実務上の射程
被告人が死亡した場合の処理を定めた基本的な判例である。司法試験においては、公訴棄却事由(339条等)の整理や、当事者能力の喪失に伴う訴訟終了の形式を問う問題において、条文の適切な適用を示す根拠として用いる。
事件番号: 昭和59(あ)1566 / 裁判年月日: 平成元年1月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が上告提起後に死亡した場合、裁判所は刑訴法414条、404条、339条1項4号に基づき、決定で公訴を棄却すべきである。 第1 事案の概要:殺人、恐喝未遂、恐喝被告事件について福岡高等裁判所が言い渡した有罪判決に対し、被告人が上告を申し立てた。しかし、上告審の記録中に含まれる除籍謄本によれば、…
事件番号: 昭和44(あ)1097 / 裁判年月日: 昭和44年12月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告審の継続中に被告人が死亡した場合には、刑事訴訟法414条、404条、339条1項4号を適用して、決定により公訴を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人は業務上過失傷害被告事件について、第一審の有罪判決に対し控訴したが棄却され、さらに最高裁判所に上告を申し立てていた。しかし、当該事件が最高…
事件番号: 昭和62(す)80 / 裁判年月日: 昭和62年6月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が死亡したことが戸籍謄本等により明らかとなった場合、裁判所は刑訴法339条1項4号に基づき、決定をもって公訴を棄却しなければならない。 第1 事案の概要:被告人が昭和62年4月3日に死亡した。この事実は、愛媛県西条市長が認証した被告人の戸籍謄本によって確認された。 第2 問題の所在(論点):…
事件番号: 昭和48(す)59 / 裁判年月日: 昭和48年3月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が死亡したときは、刑事訴訟法に基づき公訴を棄却しなければならない。本判決は、上告審での被告人死亡が戸籍抄本により判明したため、原決定を取り消した上で公訴棄却の決定を下したものである。 第1 事案の概要:被告人Aは、刑事裁判の過程(本件では上告審あるいは異議申立段階)にある中、昭和48年2月1…