判旨
上告趣意書において控訴趣意書を引用するのみで具体的な理由を記載しない場合は、適法な上告理由として認められない。
問題の所在(論点)
上告趣意書において、具体的な理由を自ら記載することなく控訴趣意書を引用するのみの形式による記載が、刑事訴訟法上の適法な上告理由として認められるか。
規範
上告趣意書には、刑事訴訟法に定められた具体的な上告理由を自ら明示して記載しなければならず、単に控訴趣意書の内容を引用するだけでは、具体的な理由の提示を欠くものとして不適法となる。
重要事実
被告人が上告を提起したが、提出された上告趣意書には具体的な上告理由が記載されておらず、単に「控訴趣意書を引用する」旨の記載があるのみであった。
あてはめ
被告人の上告趣意書は、それ自体の中に具体的な不服の理由を何ら示しておらず、控訴審における主張を援用するにとどまっている。これは、上告審に対して判断を求める対象を具体的に特定したものとはいえず、刑事訴訟法が求める上告理由の提示を欠くものと評価される。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟の実務において、上告趣意書作成時に控訴趣意書の「丸投げ」的引用が許されないことを示す基本判例である。答案上は、上告理由の具体的記載の要否や適法性が問われる場面で、手続的要件を満たさない例として簡潔に引用する。
事件番号: 昭和26(れ)1109 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条の職権破棄事由も認められない場合、上告を棄却すべきであることを示したものである。 第1 事案の概要:被告人側(弁護人)が上告を申し立てたが、提出された上告趣意書の内容が刑事訴訟法405条の定める上告理由(憲法違反または最高裁判所若し…