上告趣意第二点は、理由については控訴趣意第一点を援用するというのであつて、上告趣意書自体に亳もその趣意内容を示していないから適法な上告趣意ではない。
控訴趣意を援用すると記載した上告趣意の適否
刑訴法407条,刑訴規則240条
判旨
控訴趣意を援用する旨の記載のみで具体的な内容を欠く上告趣意書は、適法な上告理由を示したものとは認められない。
問題の所在(論点)
上告趣意書において、具体的な趣意内容を示さず控訴趣意を援用する旨のみを記載した場合に、刑訴法上の適法な上告趣意といえるか(上告趣意の具体的明示の要否)。
規範
上告趣意書には、刑訴法405条所定の事由(憲法違反、判例違反等)を具体的に示さなければならず、単に控訴趣意を援用する旨を記載したに過ぎないものは、適法な上告趣意として認められない。
重要事実
被告人の弁護人が上告を提起したが、その上告趣意書において、第一審の裁量に属する審理の範囲や程度を非難するにとどまる点、および控訴趣意を援用する旨のみを記載し、上告趣意書自体には具体的な趣意内容を一切示さない点が含まれていた事案である。
あてはめ
弁護人の主張のうち、第一審の審理範囲への不満は裁量事項の非難に過ぎず、また、控訴趣意の援用については、上告趣意書自体にその具体的な内容が何ら示されていない。このような記載は、上告裁判所に対して適法な憲法違反や判例違反の主張を提示したものとは評価できないため、刑訴法405条の事由に該当しない。
結論
本件上告趣意は不適法であり、刑訴法414条・386条1項3号により、上告を棄却すべきである。
実務上の射程
上告趣意書における具体的記載義務に関する判例である。答案上は、上告理由の適法性を検討する際、単なる前審の主張の援用では足りず、405条の事由を具体的に指摘する必要があることを示す根拠として用いる。
事件番号: 昭和25(あ)1072 / 裁判年月日: 昭和26年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件上告は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条を適用すべき職権破棄の事由も認められないため、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は、被告人側が高等裁判所の判決に対し、弁護人を通じて上告を申し立てた事案である。上告趣意において具体的な不服の理由が主張されたが、最高裁判…