併合罪の関係にある二個以上の犯罪について、各別に公訴の提起があり、各別個の事件として、同一裁判所に繋属する場合においても、これを併合審理するか否かは、裁判所が各場合における諸般の事情を斟酌して適当に裁定するところに委ねられているのである。そして刑法はその第四七条乃至第五三条において、併合罪が同時に審判せられる場合の刑の加重併科等に関して規定すると共に、それが各別に裁判せられた場合における刑の執行に関しても特に規定を設け以て併合罪が各別個の事件として審判せられるか否かにより被告人に不利益を来さないように用意しているのである。
併合罪の関係にある事件を分離して審判とすることの適否
刑法47条,刑法53条,刑訴法313条
判旨
併合罪の関係にある数個の事件が同一裁判所に繋属する場合、これを併合審理するか否かは裁判所の裁量に委ねられる。併合審理がなされない場合でも、刑の執行に関する規定や量刑上の配慮により被告人の不利益は回避され得るため、併合しないことが直ちに違法とはならない。
問題の所在(論点)
併合罪の関係にある複数の事件が同一裁判所に繋属している場合に、裁判所がこれらを併合審理せずに各別に審判することが、被告人の不利益を招く違法な手続となるか。また、併合審理を行うか否かの判断基準はどこにあるか。
規範
併合罪(刑法45条前段)の関係にある二個以上の犯罪について各別に公訴が提起され、同一裁判所に繋属する場合であっても、これらを併合して審理するか否かは、裁判所が諸般の事情を斟酌して決定する裁量に委ねられる。また、併合罪が別個に審判される場合でも、刑法(47条〜53条)の規定に基づき執行段階で調整がなされるほか、裁判所は量刑において他事件の事情を斟酌できるため、併合審理の欠如が直ちに被告人の不利益を意味するものではない。
重要事実
被告人に対し、併合罪の関係にある二個以上の犯罪について各別に公訴が提起され、これらが同一の裁判所に繋属していた。しかし、原審(控訴審)はこれらの事件を併合して審理・裁判しなかった。被告人側は、併合審理がなされなかったことにより不当に重い刑を科されるなど、不利益を被ったとして上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、原審が別個に審理を行った点は裁判所の合理的な裁量権の範囲内である。刑法は併合罪が別個に裁判された場合の刑の執行等についても規定を設けており(刑法47条以下)、制度上、被告人が不当な不利益を被らないよう配慮されている。加えて、裁判所は別個の審理においても他方の事件の事情を斟酌して量刑を行うことが可能であるから、併合審理が行われなかった事実のみをもって被告人の利益が必然的に害されたとはいえない。
結論
併合罪の併合審理は裁判所の裁量に属し、併合しなかったとしても直ちに被告人の利益を害する違法があるとはいえない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
裁判所の訴訟指揮権(併合・分離)の裁量を広く認めた判例である。答案上は、数個の事件が繋属している場合の審理のあり方について、被告人が併合を求めたにもかかわらず裁判所が拒否した場合の違法性を論じる際の根拠として用いる。ただし、併合しないことで著しく被告人の防御権を侵害する等の特段の事情がない限り、裁量濫用を認めるのは慎重であるべきという文脈で活用する。
事件番号: 昭和28(あ)5033 / 裁判年月日: 昭和29年10月12日 / 結論: 棄却
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