判旨
密輸入された物品を海岸から近傍の小屋へ搬入し、陸揚げ自体に協力して密輸入を容易ならしめる行為は、事後従犯ではなく密輸入罪の幇助罪を構成する。
問題の所在(論点)
密輸入された物品を海岸から浜小屋へ搬入する行為が、密輸入罪の幇助(刑法62条1項)にあたるか、それとも実行後の寄与(盗品関与罪に類似する事後的な行為)にすぎないのかが問題となる。
規範
密輸入行為(実行行為)が完了する前、あるいは密輸入を実効的に容易ならしめる密接な関連性を有する協力行為は、刑法62条1項の幇助にあたる。特に、陸揚げそのものを補助する行為は、密輸入罪の実行行為を容易にする従属的行為として評価される。
重要事実
被告人は、密輸入された物件を、海岸において自己所有の浜小屋に搬入した。この行為は、密輸入された物品の陸揚げ作業そのものに直接協力する形で行われた。
あてはめ
被告人の行為は、単なる陸揚げ後の運搬ではなく、海岸における「陸揚げ自体に協力」したものであると認定される。これにより密輸入という犯罪の実現を物理的・心理的に容易ならしめたといえるため、実行行為に対する幇助と評価するのが相当である。
結論
被告人の行為は密輸入罪の幇助罪を構成し、有罪とした原判決は正当である。
実務上の射程
犯罪の終了時期と幇助の成否に関する判断材料となる。密輸入罪において、単なる搬出後の運搬(事後従犯的行為)か、陸揚げという実行行為と一体不可分な協力(幇助)かを区別する際のメルクマールとして活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)285 / 裁判年月日: 昭和24年7月23日 / 結論: 棄却
しかし、貿易等臨時措置令第四條及び關税法の罰則等の特例に關する勅令第一條第二項は何れも輸出入しようとした行爲をを罰する旨を規定しているのであるから、原判示のように朝鮮向けの密航船を仕立てて、税關の兔許も受けず、その他法定の除外事由もないのに右密航船に指輪ライター等を多量に船積した第一審相被告人Aの所爲は前記兩勅令の規定…
事件番号: 昭和26(あ)3918 / 裁判年月日: 昭和28年3月19日 / 結論: 棄却
一 密輸入貨物の表示に「内容不詳」の附記があるとしても、密輸幇助事件の公訴事実の記載として罪となるべき事実の特定につき何ら欠くるところはない。 二 内容不詳の密輸入貨物の原価をその三倍が三万円を超えないものと認めることは違法でない。
事件番号: 昭和24(れ)1946 / 裁判年月日: 昭和25年1月19日 / 結論: 棄却
一 原判決の認定した本件犯罪事實は、要するに、被告人A、同Bは、原審相被告人C、同D及び第一審相被告人Eと共謀の上相共に物資を石川縣a港から船積みして朝鮮に密輸出しようと企て、被告人Aにおいて、判示のごとく昭和二二年一一月中右目的に使用するため機帆船F丸を買い取り、その修理艤装を進め同年一二月中旬頃迄の間に燃料その他消…
事件番号: 昭和25(れ)1208 / 裁判年月日: 昭和25年11月10日 / 結論: 棄却
一 本件においてA丸が舞鶴港から福井縣三国港に向け出航する予定であつたことは所論のとおりであるが被告人等は右三国港から朝鮮向けの密航船があること及び同船に連絡する船が舞鶴港から出航することを聞知し此の機会を利して朝鮮えの物品の密輸出を企て判示物件をA丸に積込んだものであり原判決挙示の証拠によればその頃密航船が航行してい…
事件番号: 昭和26(れ)1337 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】正犯が密輸出を企図していることを認識しながら、当該密輸出を容易にする物品の売買行為を行った場合、正犯の実行行為を容易ならしめたものとして、刑法62条1項の幇助犯が成立する。 第1 事案の概要:被告人Dは、共犯者Bらが商品を密輸出する計画を立てていることを察知していた。それにもかかわらず、DはBらに…