判旨
被告人および弁護人が証人を尋問する機会を十分に与えられていた場合には、証言の信憑力判断が自由心証に委ねられているとしても、憲法が保障する証人審問権を侵害するものではない。
問題の所在(論点)
被告人側に証人を尋問する機会が与えられていたといえるか。また、証言の信憑性判断を自由心証に委ねることや、本件の審理期間が憲法に違反するか。
規範
憲法37条2項前段の証人審問権の保障は、被告人に対して証人を尋問する機会が十分に与えられていることをもって充足される。また、適法に証拠調べが行われた証言の信憑性評価は、裁判官の自由な心証(刑事訴訟法318条)に委ねられる。
重要事実
被告人は昭和24年12月24日に公訴提起され、第一審判決が昭和25年1月30日、控訴審判決が同年6月9日に言い渡された。被告人側は証人Aの証言の信憑性を争うとともに、尋問機会の欠如や審理の遅延を理由として憲法違反を主張して上告した。
あてはめ
第一審の第2回公判調書によれば、被告人および弁護人は証人Aを尋問する機会を十分に与えられていたことが明白である。したがって、審問権を侵害したという主張は前提を欠く。また、公訴提起から控訴審判決まで約半年という審理期間に鑑みれば、迅速な裁判を欠く審理に基づいたものとはいえない。さらに、証言の信憑力判断は裁判官の自由な心証に属する事項であり、これをもって憲法違反とすることはできない。
結論
被告人側に十分な尋問機会が与えられていた以上、憲法違反は認められず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における証人審問権の充足基準を示す。答案上では、公判調書等の記録から実質的な尋問機会の有無を確認し、機会が保障されている限りは自由心証による証拠評価を尊重すべきとする論理構成に資する。
事件番号: 昭和25(あ)2812 / 裁判年月日: 昭和27年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項前段は、裁判所が必要でないと認める証人の喚問までを強制するものではなく、被告人に絶対的な証人審問権を付与するものではない。 第1 事案の概要:被告人側は、特定の証人の喚問を求めたが、裁判所がこれを必要でないと判断して却下した。これに対し、被告人側は憲法37条2項前段が規定する証人審問…