判旨
刑の執行猶予を付すか否かは、裁判所の広範な自由裁量に属する事項である。したがって、被告人に執行猶予を付さなかった原判決の判断に審理不尽の違法があるとは認められない。
問題の所在(論点)
刑の執行猶予を付すか否かという裁判所の判断が、審理不尽の違法を構成するか否か、すなわち執行猶予の付与が裁判所の裁量に属するかが問題となる。
規範
刑法25条等に基づく刑の執行猶予の言渡しは、裁判所の自由裁量に属する事項である。
重要事実
被告人の弁護人は、原判決が被告人に対し執行猶予を付さなかったことについて、尽くすべき審理を尽くしておらず、最高裁の判例に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、執行猶予を付すか否かは裁判所の自由裁量に属すると解示している。本件において、原判決が被告人を執行猶予にしなかったことは、この裁判所の自由裁量の範囲内で行われた判断といえる。したがって、所論のような審理不尽を認めることはできないと評価される。
結論
被告人に執行猶予を付さなかった原判断は妥当であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、執行猶予の付与が裁判所の「自由裁量」であることを明言したものである。答案上は、量刑不当や審理不尽の主張に対し、裁判所の広範な裁量を根拠に合憲性・適法性を肯定する際の論拠として使用できる。ただし、現代の実務では、裁量権の逸脱・濫用がないかという観点からの検討が必要となる点に留意すべきである。
事件番号: 昭和25(れ)1264 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が刑の執行を猶予しないことは、裁判所の広範な裁量に委ねられており、それが直ちに法令違反となることはない。 第1 事案の概要:被告人が刑の執行猶予を付されなかったことに対し、弁護人が原判決の判断には法則に反する点があると主張して上告を提起した事案。判決文からは具体的な犯行態様等の事実は不明であ…
事件番号: 昭和25(あ)1020 / 裁判年月日: 昭和26年2月1日 / 結論: 棄却
一 原審が第一審の量刑を相当であるとして判示して、被告人に刑の執行猶予を言渡さなかつたのは、被告人の本件犯行が原判決に説示するような公務員の犯行として最も忌憚すべき性質のものであり且つその動機が遊女に溺れて遊興費に窮した結果であると認めその犯情決して軽いものではないと思料したからであることは判文に徴したやすく理解されう…
事件番号: 昭和24新(れ)538 / 裁判年月日: 昭和25年9月7日 / 結論: 棄却
第一審判決の量刑の不當を理由として右判決を破毀し、刑の量定をやりなおした原審においては、第一審の認定した犯罪事實並びにその認定手續については亳も爭がなく、かつ原判決は第一審判決の確定した事實を基礎としたものであるから、原判決は、第一審判決の認定したと同一の事實、並びに證據を引用したものと解することができる。