判旨
賄賂罪における「賄賂」の受領後の処理に関し、収受した金銭を後に贈賄者に返還したとしても、既に成立した賄賂罪の成否に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
賄賂として収受した金銭を、後に贈賄者に返還した場合、賄賂罪(刑法197条等)の成否に影響を及ぼすか。
規範
刑法197条等の賄賂罪において、公務員が職務に関して賄賂を収受した場合には、その時点で犯罪が既遂に達する。一度成立した犯罪は、その後に賄賂を費消したか、あるいは贈賄者に返還したかといった事後の事情によって左右されるものではない。
重要事実
被告人は、刑法197条後段の請託を受けた事実、および賄賂を収受した事実について、第一審判決で有罪と認定された。被告人側は上告審において、認定された賄賂を実際には費消しておらず、むしろ贈賄者に返還したのであるから、賄賂罪は成立しない旨を主張して判例違反等を訴えた。
あてはめ
本件において被告人側は、賄賂を費消せず返還した事実を強調するが、賄賂罪は収受の時点で既遂となる。仮に被告人が主張するように後日金銭を返還したとしても、それは犯罪成立後の事後的な事情に過ぎない。したがって、第一審が認定した収受の事実がある以上、返還の有無は罪の成否自体を左右するものではなく、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき理由には当たらない。
結論
賄賂を収受した以上、後にこれを返還したとしても、賄賂罪の成立は妨げられない。
実務上の射程
賄賂罪の既遂時期および「収受」の概念に関する基本的な理解を示すものである。答案上では、賄賂の授受があった後の主観的意図の変化や事後的な補填が、構成要件該当性に影響しないことを論証する際に、既遂時期の観点から引用し得る。
事件番号: 昭和25(れ)1699 / 裁判年月日: 昭和26年3月29日 / 結論: 棄却
元来昭和一二年法律第九二号輸出入品等ニ関スル件が昭和二〇年法律第四九号により昭和二一年一月一六日から廃止され同臨時措置ニ関スル件に基く命令又は処分が同年七月一六日からその効力を失うことになつたので、同年七月一五日商工省令第三四号(昭和一二年法律第九二号に基く省令の措置に関する件)によつて、カーバイト配給統制規則(昭和一…