判旨
弁護人届が提出されていない者が提出した控訴趣意について、原審が判断を示さなかったとしても、裁判の判断遺脱という違法には当たらない。
問題の所在(論点)
弁護人届が提出されていない者が提出した控訴趣意について、原審が判断を示さなかったことは、刑事訴訟法上の判断遺脱の違法に当たるか。
規範
控訴審において裁判所が判断すべき控訴趣意は、有効に選任された弁護人等によって提出されたものに限られる。弁護人届を提出していない者が書面を提出したとしても、それは法的に有効な弁護人による申立てとは認められず、裁判所はこれに対して判断を示す義務を負わない。
重要事実
被告人が一審判決の事実認定と刑の量定を不服として上告した事案。弁護人は、原審(控訴審)において、別の弁護人が提出した控訴趣意に対して原判決が判断を遺脱した違法があると主張した。しかし、記録上、当該「別の弁護人」については原審に弁護人届が提出されていなかった。
あてはめ
本件において、判断遺脱が主張されている控訴趣意書を提出した人物について、原審の記録を確認したところ、適法な弁護人届の提出が認められない。弁護人としての資格が手続上確認されていない以上、その者が提出した書面は正当な控訴趣意として受理されるべきものではない。したがって、原審がこの書面に対して判断を示さなかったことは、当然の処置であり、違法な判断遺脱は存在しないといえる。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由にあたらず、棄却されるべきである。
実務上の射程
弁護人選任手続の不備(弁護人届の未提出)が、上訴審における主張の有効性に直結することを確認した判例である。司法試験等の実務的視点からは、刑事訴訟手続の厳格性を担保する基礎的論点として理解すべきである。
事件番号: 昭和25(あ)2161 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、上告理由が刑事訴訟法405条に当たらない場合、記録を精査しても同法411条を適用すべき顕著な理由がない限り、上告を棄却する。 第1 事案の概要:弁護人が上告趣意書を提出して上告を申し立てたが、その内容が刑訴法405条の定める上告理由(違憲や判例違反など)に当たらないものであった。また…