判旨
裁判官が公務のため出張しており署名押印が不可能な場合、他の裁判官がその理由を付記して署名押印すれば、当該判決の効力に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
裁判官の一部が出張中のため署名押印できない場合に、他の裁判官が理由を付記して署名押印する手続が、刑事訴訟法上の判決の成立要件として適法か。
規範
合議体の裁判官が判決書に署名押印すべき場合において、一部の裁判官が出張等の職務上の理由により署名押印することができないときは、他の裁判官がその理由を付記して署名押印することで足り、手続上の違法とはならない。
重要事実
本件の上告審において、判決に関与した合議体の裁判官のうち一人が、判決作成時において公務により出張中であった。そのため、当該裁判官は判決書に自ら署名押印することができなかったが、裁判長がその旨の理由を判決書に付記した。
あてはめ
本件では、判決に関与した裁判官の一人が出張中であり、物理的に署名押印が不可能な状態にあった。このような客観的事由がある場合、裁判長がその旨を付記することで、裁判官全員の合意に基づく判決であることの真正性は担保される。したがって、刑事訴訟法405条の上告理由や、同411条の職権破棄事由に該当するような重大な違法は認められない。
結論
一部の裁判官が署名押印できない理由を付記した判決書は適法であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
裁判官の署名押印漏れに関する形式的要件の例外を示すものであり、実務上、合議体の構成員に変更がない限り、事務的な障害による署名不能は判決の効力を左右しない。答案上は、判決の成立過程における瑕疵の有無が問われた際の補充的な論拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)536 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決の作成に関与していない裁判官が判決の言渡しに関与することは適法であり、判決の作成日と言渡し日が同一であっても、作成に関与した裁判官が出席できない事情があれば、署名した裁判官と言渡しに出席した裁判官が異なっていても違法ではない。 第1 事案の概要:被告人の上告において、原判決の作成に関与して署名…
事件番号: 昭和27(し)30 / 裁判年月日: 昭和27年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官が合議体の構成員として判決に関与しながら、出張等の事故により記名押印できない場合、他の裁判官がその理由を付記して記名押印することは、判決の効力に影響を及ぼさない正当な手続である。 第1 事案の概要:本件判決において、合議体の構成員である裁判官小谷勝重は、判決の合議および成立に関与したが、判決…