判旨
裁判官が合議体の構成員として判決に関与しながら、出張等の事故により記名押印できない場合、他の裁判官がその理由を付記して記名押印することは、判決の効力に影響を及ぼさない正当な手続である。
問題の所在(論点)
裁判官の一人が出張により判決書に記名押印できない場合に、他の裁判官が理由を付記して代筆・代印等を行うことが、判決の有効性や民事訴訟法上の手続として適法か。特に、記名押印の欠缺が判決の無効事由となるかが問題となる。
規範
判決書には原則として裁判に関与した裁判官が記名押印すべきであるが、裁判官の一部に記名押印につき支障(事故)があるときは、他の裁判官が判決書にその理由を付記して記名押印することで足りる。この手続を経た判決は、適法に成立したものとみなされる。
重要事実
本件判決において、合議体の構成員である裁判官小谷勝重は、判決の合議および成立に関与したが、判決書作成時において出張中であったため、自ら記名押印することができなかった。そのため、裁判長裁判官がその旨を判決書に付記した。
あてはめ
本件では、裁判官小谷は「出張」という客観的な職務上の事由により記名押印が不可能な状態にあった。これは民事訴訟法(当時)が想定する「事故」に該当する。裁判長裁判官が「裁判官小谷勝重は出張につき記名押印することができない」旨を明記し、自ら記名押印していることから、法定の代行手続を適正に履践しているといえる。
結論
本件特別抗告は理由がなく、棄却される。裁判官の一部が記名押印できない場合でも、理由の付記があれば判決は有効である。
実務上の射程
民事訴訟法253条2項の解釈として重要。裁判に関与(合議に参加)した裁判官が、判決書作成段階で退官、病気、出張等により物理的に署名押印できない場合の救済規定として機能する。答案上は、判決の成立要件(方式の適否)が問われた際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(し)61 / 裁判年月日: 昭和25年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の理由として憲法違反を主張していても、その実質が原決定の訴訟手続に関する単なる法令違反にすぎない場合には、刑罰訴訟法上の適法な特別抗告の理由とは認められない。 第1 事案の概要:特別抗告人が、原決定の訴訟手続に関する不服を憲法違反と主張して特別抗告を申し立てた事案。なお、具体的な事案の詳細…
事件番号: 昭和28(す)163 / 裁判年月日: 昭和28年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の忌避の裁判が憲法32条、37条1項に違反するという主張は、独自の憲法解釈に基づかない限り、実質的には訴訟法違反を主張するものにすぎず、特別抗告の理由とはならない。裁判官の構成を含め、法に従った裁判所の判断は憲法上の裁判を受ける権利を保障しているものと解される。 第1 事案の概要:本件は、裁…
事件番号: 昭和25(し)64 / 裁判年月日: 昭和26年4月13日 / 結論: その他
一 そして最高裁判所が正義を維持するため発動する職権破棄権は本件のような場合には当然にこれを保有するものというべきであるから本件特別抗告については刑訴法第四一一条の準用があるものと解するのが正当である。 二 被告人(控訴申立人)に対し、保釈決定原本に記載された制限住居とまつたく異つた制限住居を記載した謄本が送達せられ、…
事件番号: 昭和25(し)33 / 裁判年月日: 昭和28年1月22日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和27(し)49 / 裁判年月日: 昭和28年1月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】決定手続における事実の取調べは必ずしも証人尋問の方法による必要はなく、適宜の方法で参考人を審尋することも許される。また、その際に被告人や弁護人に立ち会いの機会を与えなかったとしても違法ではない。 第1 事案の概要:被告人が再審請求を行った事案において、原審は事実の取調べのためにAを尋問したが、証人…