判旨
決定手続における事実の取調べは必ずしも証人尋問の方法による必要はなく、適宜の方法で参考人を審尋することも許される。また、その際に被告人や弁護人に立ち会いの機会を与えなかったとしても違法ではない。
問題の所在(論点)
決定をもって裁判をする場合(刑訴法43条)の事実の取調べにおいて、裁判所は必ず証人尋問の方式によらなければならないか。また、その取調べに際して被告人・弁護人の立会権を保障する必要があるか。
規範
刑事訴訟法43条に基づき、決定は口頭弁論に基づくことを要せず、必要に応じて事実の取調べを行うことができる。また、刑訴規則33条は、決定のための事実取調べにおいて必要があるときは証人尋問等ができる旨を定めているが、これは必ず証人尋問の手続によらなければならないという趣旨ではない。裁判所は適宜の方法によって参考人を審尋することができ、その取調べに際して被告人や弁護人を立ち会わせるか否かも裁判所の裁量に属する。
重要事実
被告人が再審請求を行った事案において、原審は事実の取調べのためにAを尋問したが、証人尋問としての方式を履践せず、適宜の方法による審尋(参考人審尋)として実施した。また、その尋問の際、被告人および弁護人に対して立ち会いの機会を与えなかった。これに対し、抗告人は、証人尋問の手続によらなかったこと、および立会権を保障しなかったことが憲法等に違反するとして特別抗告を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法および規則の規定上、決定手続における事実の取調べは弾力的な運用が認められている。本件において原審がAを証人としてではなく、適宜の方法により参考人として審尋したことは、法の禁止するところではない。また、刑事訴訟規則33条が立会いについて「できる」と規定していることに鑑みれば、被告人らに立ち会いの機会を与えなかったとしても、法的手続に違反するものではなく、憲法違反の主張も当たらない。
結論
原審の判断は正当であり、決定手続において証人尋問の方式を採らず、かつ被告人らを立ち会わせなかったことに違法はないため、本件特別抗告を棄却する。
事件番号: 昭和28(し)12 / 裁判年月日: 昭和28年11月24日 / 結論: 棄却
刑訴第四三五条第六号に基く再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、その再審の請求が理由があるかどうかを判断するために、その証人の取調をするか、又はこれをしないで、趣意書に添えた証拠書類等及び確定事件記録につき必要と認める調査をするにとどめ、あるいはさらにその証人の取調以外の方法によ…
実務上の射程
再審請求手続や勾留に関する決定など、決定で裁判を行う手続一般における事実取調べの裁量を認めたものである。証拠調べの厳格な方式(伝聞法則の適用や宣誓等)が要求される公判手続とは異なり、決定手続では機動的かつ合理的な事実確認が可能であることを示しており、答案上は自由な証明の範囲内における手続的裁量を論ずる際に活用できる。
事件番号: 昭和25(し)33 / 裁判年月日: 昭和28年1月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官に対する忌避の申立てにより訴訟手続を停止すべき場合であっても、被告人に対する勾留の更新決定をすることは、刑事訴訟規則11条ただし書にいう「急速を要する場合」に該当し、適法である。 第1 事案の概要:被告人が担当裁判官に対して忌避の申立てを行った。当該裁判官は、忌避申立てに伴う訴訟手続の停止期…
事件番号: 昭和37(し)29 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: 棄却
憲法三七条二項は、刑事被告人に対し、受訴裁判所の訴訟手続において、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられる旨を規定したものであること当裁判所の判例(昭和二四年(つ)第九三号同二五年三月六日大法廷決定刑集四巻三号三〇九頁、昭和二五年(あ)第七九七号同二七年六月一八日大法廷判決刑集六巻六号八〇一頁)である。しから…
事件番号: 昭和27(し)30 / 裁判年月日: 昭和27年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官が合議体の構成員として判決に関与しながら、出張等の事故により記名押印できない場合、他の裁判官がその理由を付記して記名押印することは、判決の効力に影響を及ぼさない正当な手続である。 第1 事案の概要:本件判決において、合議体の構成員である裁判官小谷勝重は、判決の合議および成立に関与したが、判決…
事件番号: 昭和29(し)51 / 裁判年月日: 昭和29年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がなした再審請求棄却の決定に対し、刑事訴訟法428条2項に基づく異議の申立てを経ることなく直接特別抗告を申し立てることは、同法433条により許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、強盗致死被告事件の確定判決(福岡高等裁判所)に対し再審請求を行った。これに対し、福岡高等裁判所が再審請求を…