本件公訴の當初において、假りに被告人が不法に逮捕勾留されたとしてもそれに對する救濟は別途の手續によるべきであつてこれをもつて上告の理由とすることのできないことについては、當裁判所のしばしば判示するところである。(昭和二二年(れ)第三三四號同二三年六月九日大法廷判決、昭和二三年(れ)第六一號、同年一一月五日大法廷判決昭和二三年(れ)第七七四號、同年一二月一日大法廷判決參照)されば原判決には所論のような憲法の違反は憲法の解釋の誤はない。
不法逮捕勾留されたことを理由とする上告の適否
憲法31条,憲法33條,憲法34條,刑訴法405條
判旨
違法な逮捕・勾留が行われた場合であっても、それに対する救済は別途の手続によるべきであり、当該手続上の違法を理由に公訴提起の無効や判決の破棄を求めることはできない。
問題の所在(論点)
先行する逮捕・勾留手続に違法がある場合、その違法が後の公訴提起や判決の効力に影響を及ぼし、上告理由となるか。
規範
不法な逮捕・勾留に対する救済は別途の手続(人身保護請求等)によるべきであり、刑事訴訟の審判過程において、逮捕・勾留の違法をもって上告理由とすることはできない。
重要事実
被告人が公訴提起の当初において不法に逮捕・勾留されたと主張し、憲法違反または憲法解釈の誤りがあるとして上告を申し立てた事案。
あてはめ
判決文によれば、被告人が仮に不法に逮捕・勾留されたとしても、それは公訴提起そのものの効力を左右するものではない。手続の違法に対する救済は刑事訴訟の審判枠組みの外にある「別途の手続」によるべきであり、上告審において憲法違反等の理由として主張することは、最高裁判所の確立した判例に照らして認められない。
結論
本件逮捕・勾留の違法は上告理由とならないため、上告は棄却される。
実務上の射程
違法収集証拠排除法則や公訴棄却の議論とは別に、身分拘束手続の違法のみをもって直ちに訴訟手続の無効を導くことはできないとする初期判例。実務上は、違法な身分拘束から派生した証拠の排除や、公訴提起自体が公訴権の濫用となる極めて例外的な場合にのみ、本件と異なる結論を導く余地がある。
事件番号: 昭和26(れ)1894 / 裁判年月日: 昭和26年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴前における捜査手続に違憲又は違法があったとしても、そのことのみでは、原則として後の判決自体に影響を及ぼさない。 第1 事案の概要:被告人が緊急逮捕された際の手続が違憲であること、および引致後に弁護人選任権の告知がなされなかったことについて、弁護人が上告理由として主張した事案である。 第2 問題…