判旨
不利益変更禁止の原則における「原判決の刑より重い刑」とは、判決主文の科刑を原判決と比較して重くすることを指す。したがって、事実認定において一部無罪とした場合であっても、主文の科刑が重くなっていない限り、同原則には違反しない。
問題の所在(論点)
控訴審において事実認定の一部を無罪とした場合であっても、主文の科刑が原判決より重くなければ不利益変更禁止の原則(刑訴法402条)に違反しないか。
規範
旧刑訴法403条(現行刑訴法402条)にいう「原判決の刑より重い刑を言い渡す」とは、判決主文の科刑を原判決と比較して重くすることを意味する。
重要事実
被告人が控訴したところ、第二審判決は事実認定において一部を無罪としたが、主文における科刑については原判決と比較して重くしなかった。これに対し、弁護人が不利益変更禁止の原則に違反する旨を主張して上告した事案である。
あてはめ
本件第二審判決は、事実認定において一部無罪の判断を示しているものの、主文の科刑においては何ら原判決よりも重くしていない。不利益変更の有無は主文の科刑を基準に判断されるべきであるため、一部無罪の認定がなされたこと自体は、主文の刑が維持されている以上、被告人にとって不利益な変更にあたるとはいえない。
結論
本件第二審判決は不利益変更禁止の原則に違反しない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
刑訴法402条の「刑」とは主文の刑(刑名、刑期、執行猶予の有無等)を指し、理由中の事実認定や適用罪名の変更それ自体は、主文の刑が重くならない限り同条に抵触しないことを示す。答案作成上は、不利益変更の有無を検討する際の基本的判断基準(主文対照説)の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)2736 / 裁判年月日: 昭和26年1月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下において、原判決の量刑不当を主張することは適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の量刑が不当であるとして上告を申し立てた。なお、その他の具体的な事実関係については判決文からは不明である。 第2 問題の所在(論点):刑事訴訟法上、原判決の量刑が不当であることを理…
事件番号: 昭和26(れ)384 / 裁判年月日: 昭和26年10月16日 / 結論: 棄却
一 罰金不完納の場合における労役場留置の言渡についてもいわゆる不利益変更禁止の規定の適用がある。 二 大審院の判例に反すると主張していても、既にこれと同趣旨の最高裁判所の判例があるときは、刑訴第四〇五条第三号にあたらない。 三 高裁の判例に反すると主張していても、既にその判例が最高裁判所の判例で変更せられているときは、…