判旨
共同被告人の関係にあり、かつ敵対関係にある者の証言であっても、当然に証拠能力を欠くものではなく、その証明力の判断は裁判所の合理的な裁量に委ねられる。また、公判期日の間隔が15日を超えても、刑事訴訟規則の定める事由に該当する場合には、審理の更新手続を要しない。
問題の所在(論点)
1. 被告人と敵対関係にある共同被告人の証言に証拠能力が認められるか。 2. 公判期日が15日以上経過した場合において、更新手続を要しないとする刑事訴訟規則施行規則の規定は合憲かつ有効か。
規範
1. 共同被告人や敵対関係にある者の証言であっても、それのみを理由として当然に証拠能力が否定されるものではない。証拠の証明力の判断は、実験則に反しない限り、事実審裁判所の専権に属する。 2. 公判期日の更新手続(刑事訴訟法315条参照)に関し、規則が定める特定の期間(15日)を超えても、憲法に抵触しない適法な規則(刑事訴訟規則施行規則3条3号)の例外規定に該当する場合は、不更新のまま審理を継続することが認められる。
重要事実
被告人らは窃盗罪に問われた。原判決は、被告人と平素から敵対関係にある共同被告人(証人A)の証言を証拠として採用し、有罪判決を下した。これに対し弁護側は、敵対関係にある者の証言は証拠能力がないこと、また原審の第4回公判が前回から15日以上経過しているのに審理の更新手続を行わなかったことは違法(かつ根拠規則は憲法違反)であるとして上告した。
あてはめ
1. 証人Aと被告人が共同被告人の関係にあり、かつ敵対関係にあったとしても、その一事をもって証言の証拠能力が失われるとは解されない。原判決が証拠の証明力を評価した過程に実験則違背は認められず、事実認定は適法である。 2. 更新手続の要否については、先行する大法廷判例が示す通り、刑事訴訟規則施行規則3条3号は合憲有効である。したがって、同規定に基づき、15日を経過した本件第4回公判において更新手続を行わなかった原審の訴訟手続に違法はない。
結論
被告人と敵対関係にある者の証言であっても証拠能力は認められ、また適法な規則に基づく限り、公判間隔が15日を超えても更新手続は不要である。本件上告を棄却する。
事件番号: 昭和24(れ)3064 / 裁判年月日: 昭和25年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀共同正犯の成立において、共謀および詐欺の意思等の主観的事実が原判決挙示の証拠により肯定できる場合、その認定は適法である。また、公判手続の更新については、裁判所が必要と認める場合にこれを行えば足り、一定期間の休止があったとしても直ちに違法とはならない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが、共謀…
実務上の射程
実務上、証人の適格性や証拠能力を争う際、関係性の悪さ(敵対関係)は証明力の問題として処理されるべきであり、証拠能力自体の遮断事由にはならないことを示す。また、審理の更新手続に関する手続的瑕疵の主張において、規則による例外規定の合憲性を確認する際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(れ)2106 / 裁判年月日: 昭和26年12月18日 / 結論: 棄却
被告人らの原審弁護人角田俊次郎が原審第一回公判において、A造船工業株式会社社員B及びCを証人として申請し原審においてその採否を留保していたところ、結局第二回公判において、いずれもこれを却下したことは所論のとおりである。しかし原審において弁護人が右両名の証人を申請したのは、単に犯情の点について、買主が売つて呉れといつたの…
事件番号: 昭和25(れ)1857 / 裁判年月日: 昭和26年4月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が実質的に量刑不当の主張に帰する場合、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判の判決に対して上告を申し立てた。弁護人は上告趣意書を提出したが、その内容は原判決の刑の重さを不服とするものであった。これに対し、上告裁判所において…
事件番号: 昭和26(れ)810 / 裁判年月日: 昭和26年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、弁護人の上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条を適用して職権で判決を取り消すべき事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:本件は、被告人側(弁護人)が原判決に対して上告を申し立てた事案である。判決文からは具体的な公訴事実や下級審の…