判旨
盗品等関与罪における『譲受け』の際の価格が社会通念上不相当であるか否かの認定について、証拠に基づき認定された買受価格と統制額との対比により判断することは、証拠に基づかない認定には当たらない。
問題の所在(論点)
盗品等関与罪等の前提となる『不相当な価格』の認定にあたり、証拠により認定された買受価格と公的な統制額を対照して判断する手法が、証拠に基づかない事実認定として違法となるか。
規範
事実認定において、特定の取引価格が社会通念上不相当であるか否かを判断するにあたっては、客観的な証拠によって認定された実際の取引価格と、法令等により定められた公的な統制額(基準価格)を対照・比較する手法によるべきである。
重要事実
被告人両名は、本件物品を買い受けた。原審は、当該物品の買受価格を証拠によって認定した上で、その販売価格に関する各統制額と対比し、買受価格が著しく高価であると認定した。これに対し弁護人は、社会通念上不相当な価格であることの認定が証拠に基づかない違法なものであると主張して上告した。
あてはめ
原判決は、証拠説明に示された通り、まず本件物品の実際の買受価格を証拠によって認定している。その上で、客観的な指標である販売価格の統制額と対照しており、両者の乖離から『著しく高価』であるという評価を導き出している。したがって、評価の前提となる基礎事実は証拠により確定されており、証拠に基づかない認定とはいえない。
結論
本件各上告を棄却する。証拠に基づき認定された買受価格と統制額との対照による判断は適法である。
実務上の射程
盗品等関与罪(刑法256条)の主観的態様(知情)を推認する際、『安価すぎる買受け』や『著しく不当な価格』が間接事実として重視される。本判決は、その判断手法として、実務上、客観的な基準価格(統制額や市場価格)と実際の取引額を対比するプロセスの妥当性を認めたものとして活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)1311 / 裁判年月日: 昭和26年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】物価統制令9条の2にいう「不当に高価なる額」とは、同種又は類似物資の統制価格を参酌し、社会経済秩序維持の観点から適正と認められる価格を標準として判断すべきである。本件のように卸売に類する業態の場合、卸売業者販売価格の統制額を基準とすることは正当である。 第1 事案の概要:被告人が綿織物天竺を販売し…
事件番号: 昭和26(れ)2084 / 裁判年月日: 昭和27年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が裁量権の範囲内で適法に行った証拠の採否や、前提となる事実の存否に関する認定は、特段の事情がない限り、上告理由となる訴訟法違反には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が鮮魚介を統制額を超過して消費地向けに委託販売し、その売得金を生産者に支払った事実が認定された。これに対し弁護人は、事実誤認…
事件番号: 昭和24新(れ)375 / 裁判年月日: 昭和25年5月11日 / 結論: 棄却
所論は、所論にいわゆる從來の大審院判例なるものを毫も具体的に摘示していないから、原判決が如何なる大審院の判例と相反する判斷をしているのかこれを判定するに由がなく、從つて、刑訴規則二五三條に違反し採ることができない。
事件番号: 昭和26(れ)1504 / 裁判年月日: 昭和26年12月25日 / 結論: 棄却
右追公判請求書によれば検察官はA等において本件帆布を前記代金にて販売したときに横領行為が完成したものとして公訴を提起した趣旨と認められる。されば、横領罪を構成するものとして起訴された被告人A等の右販売行為が他面において物価統制令に違反するのであるから、刑法五四一条一項前段にいう一個の行為が他の罪名に触れる場合に当り、公…
事件番号: 昭和26(れ)1092 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告趣意であっても、その実質が単なる量刑不当の主張に帰する場合には、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人側が憲法違反を理由として上告を申し立てた事案。しかし、その主張内容を精査したところ、実質的には量刑が重すぎるという不服申し立てにすぎないものであった。 第2…